「馬子にも衣装」とは?意味や使い方、例文や意味を解釈

「馬子にも衣装」とは?意味と使い方

この記事では、「馬子にも衣装」の意味を分かりやすく説明していきます。

「馬子にも衣装」とは?意味

「どのような身分、器量の人間でも綺麗な衣装を着せて外見を整えれば、立派に見えるものだ」という意味を持つことわざです。


「馬子にも衣装」の概要

馬子(まご)にも衣装の「馬子」とは、「馬に人や荷物を乗せて運ぶことを生業とする人」を意味し、馬追い、馬方(うまかた)、馬借(ばしゃく)とも呼ばれ、かつて出自や家柄が重視された時代においては相対的に下働きの職業を指す言葉として使われました。

その由来は古く、鎌倉・平安時代に農民などの夫役(ぶやく・労働課役)として、馬を引いて年貢や品物などを運搬したことが始まりと言われ、商品流通が発達した室町時代に職業化が進み、江戸時代には馬車の使用が制限されたことで飛躍的に数が増え庶民の職業として定着しました。

「衣装」は、「上半身の衣(きぬ)と下半身の裳(も)で着物。

儀式や祭りの場での定式化された衣服。

芸能で出演者の付ける衣服」
など煌びやかで改まった服装を意味することから、普段身なりが良いとは言えない馬子であっても、美しい羽織袴などを着れば外見上立派に見えるという例えとなったものです。

馬子には「子」の字が含まれ、馬を曳くイメージから長閑な風景が頭に浮かんできますが、実際には悪い輩(やから)もいて、旅人を恐喝して金品を巻き上げるなどの蛮行を働く者が多少なりともいたようです。

そうした人間も羽織袴を着れば立派に見えると揶揄したことも、このことわざが使われ始めた要因の一つと言われています。


「馬子にも衣装」の使い方や使われ方

「家族、親族などの身内や気心のよく知れた仲間」などに対する諧謔、ユーモアとして使われます。

注意点として、純粋な誉め言葉ではなく、言外に「柄にもなく」という意味を含んでいるため、用法を誤ると相手に対して失礼となり、不快な感情を残しかねないことは覚えておく必要があります。

(使用例) 〇 今日は随分とお洒落をしてるね。

まさしく馬子にも衣装だ。

〇 今日はなんか見違えるね。

いやいや馬子にも衣装ですよ。

〇 馬子にも衣装で、今日の母の着物姿は割ときまっていると思う。

(誤った使用例)
〇 今日のご子息の晴れ姿は大変立派でした。

これこそ馬子にも衣装です。

「馬子にも衣装」の類語や言いかえ

「馬子にも衣装」の類語としては、「鬼瓦にも化粧」「木株にも物着せよ」などのことわざがあります。

「鬼瓦にも化粧」の鬼瓦とは、古くは魔除けとして用いられた鬼の面を象った瓦のことで、「鬼瓦のような醜い容貌であっても化粧を施せば美しくなること」を意味し、「木株にも物着せよ」は、「形の悪い切り株であっても飾れば見栄えがよくなること」を言い表しており、いずれも「外見に手をかければ立派に見える」ことを例えています。

「馬子にも衣装」の言いかえは、いつになく外見を整えているときの表現として「めかしこむ」「装いをこらす」「ドレスアップする」などの言葉が使われます。

まとめ

「馬子にも衣装」は、馬で荷物などを運ぶことを生業とする馬子であっても、綺麗な衣装を着れば立派に見えることを表すことわざで、特に謙遜しながら身内の者を褒める場面でよく使われます。

気心の知れた友達や家族間で使えば楽しい会話のきっかけともなりますが、馬子という言葉が若い世代に馴染みがないことや発音が「孫」と同じで場面によっては紛らわしいこと、また、その言葉の由来から、ときと場合を弁えて適切な状況で使うことが大切です。

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