この記事では、植物の「養分」と「栄養分」の違いを分かりやすく説明していきます。
「養分」とは?
「養分」とは、辞書によると「栄養」となる成分。
滋養分と記述されています。
また生物学用語辞典では、生物が生きるために外部から取り入れる必要のある物質の総称とあります。
「栄養分」とは?
「栄養分」とは、生命の維持や成長などに必要な物質を指す語。
養分や栄養素などとも呼ばれると記述されています。
また、生物学用語辞典には、生物が生命活動を維持するために必要な物質とあります。
「養分」と「栄養分」の違い
上記の「養分」とは?や「栄養分」とは?の項に記載した様に、辞書では同義語の様に思えます。
しかし植物、特に野菜を考えた場合、野菜が生育するために外部から「養分」や「栄養分」を取り入れているとなりますが、一方で生育した野菜を私達が食用として食べる場合にも、葉や根等の食べる部位に蓄積された「養分」や「栄養分」を摂取して、生命維持に役立てていると言えます。
では、野菜が生育するのに必要な「養分」や「栄養分」と、私達が野菜の葉や根を食べて、そこに蓄積された「養分」や「栄養分」が同じ物質かと言うと、そうではないのです。
野菜は根から水分を吸い上げ、その時に土に含まれている「養分」や「栄養分」を吸い上げますし、不足しているものは人間が肥料として与えたりもします。
そして野菜は光合成によって、自分の葉や根に「養分」や「栄養分」を蓄えるのです。
これでは、野菜等の植物の「養分」や「栄養分」と、「養分」と「栄養分」を同義語として使えば、非常に混乱する事になってしまいます。
理科の教科書等では、こうした混乱を解消するために、「養分」と「栄養分」をしっかりと定義し、違う意味だとして使っているのが一般化しています。
それによると、栄養分というのは細胞呼吸に使うことのできる炭水化物、タンパク質、脂肪、(有機物)のことで、養分というのはそれ以外の無機物(ナトリウム、カリウム等)のことだと定義されています。
そして植物の場合、無機物である水と二酸化炭素から太陽のエネルギーを取り込んで、光合成によってでんぷん等のエネルギーをもたらす有機物を作り出していると表現されています。
すなわち、光合成で葉や根に蓄積される物質が「栄養素」であり、根が水に溶けたナトリウムやカリウムなどの肥料分を吸収していますが、こちらを「養分」としています。
しかし、この定義では野菜の葉に含まれる人間にとって有用なビタミン類等は何に当たるのかが不明瞭となってしまいます。
そこで、植物が生育するために根から水と共に吸収するものを「養分」とし、私達が植物を食べた時に葉や根から得られるものを「栄養分」と単純化して区分している場合もあります。
まとめ
「養分」と「栄養分」は、一般的には同義語とされており、いずれも生命の維持や成長などに必要な物質を指す言葉です。
しかし野菜等の植物においては、野菜等の植物が生育するために必要な物質を「養分」とし、その野菜等の植物の葉や茎や根に蓄えられ、私達が食べた時に、生命維持に有用となる物質を「栄養分」と定義して区分使用する事が一般化しています。