この記事では、火災の「鎮圧」と「鎮火」の違いを分かりやすく説明していきます。
「鎮圧」とは?
「鎮圧」とは、国語辞書によると、戦乱や暴動を武力を使ってしずめること、及び耕地をすき起こし、土を砕いて平らにならし、押さえることと記載されています。
私達がしばしば聞くのは、前者の意味の場合で、『暴徒化したデモ隊を鎮圧する。』と言った風に使います。
また「鎮圧」には、消防用語として、火災の火勢が消防隊の制御下に入り、拡大や延焼の危険がなくなったと判断された状態になった事を指す言葉ととして使われています。
この状態では、完全に火が消えたわけではありませんが、消火活動に目途が立った言えるのです。
「鎮火」とは?
「鎮火」とは、国語辞書においても、火事が消えることや、火事を消すことと記載されており、私達が一般的に火事が消し止められた事を表現する言葉として普通に使用しています。
消防用語としては、「鎮火」は完全に火が消え、消火活動の必要がないと判断される状態を指すとされています。
「鎮圧」と「鎮火」の違い
火災における「鎮圧」と「鎮火」の意味は、消防用語としてはっきりと定められており、「鎮圧」は火災の火勢が消防隊の制御下に入り、拡大や延焼の危険がなくなったと判断された状態を指し、一方の「鎮火」は完全に火が消え、消火活動の必要がないと判断される状態を指すと決められています。
従って、消火活動で、すぐに延焼を食い止められた場合には、消火スタート時点ですぐに「鎮圧」でき、その後まもなく「鎮火」となるボヤか小規模の火災と言えます。
それに対して、大規模な山火事や工場火災では、中々「鎮圧」する事が難しく、しかもようやく「鎮圧」できても、「鎮火」までにはさらに多くの時間を要する事も少なくないと言えるのです。
ちなみに、「鎮圧」できても、その後も「鎮火」まで、消火活動を続けることになりますが、この間の消火活動は、「残火処理」と呼ばれています。
火勢を弱め、延焼の危険が無くなって、「鎮圧」できても、残り火を点検処理し、再燃の危険性が無くなり完全「鎮火」させないと、消防車が帰ってから、強い風が吹いたりして、再燃する可能性があるのです。
一般住宅では、その為に屋根裏を見通せる部分に穴をあけ、天井裏でくすぶり続けていないか、十分に確認して「鎮火」が宣言されるのです。
まとめ
消防用語として、「鎮圧」は火災の火勢が消防隊の制御下に入り、拡大や延焼の危険がなくなったと判断された状態を指し、一方の「鎮火」は完全に火が消え、消火活動の必要がないと判断される状態を指すと決められています。
従って、「鎮圧」と「鎮火」は消火活動において、異なる状態を指す言葉であり、大火では、まず「鎮圧」状態となり、その後さらに消火活動を続ける事で「鎮火」に至ると言えます。
ちなみに、「鎮圧」してから、「鎮火」するまでの消防活動は「残火処理」と呼ばれています。