この記事では、行政行為の「取消し」と「撤回」の違いを分かりやすく説明していきます。
行政行為の「取消し」とは?
行政行為の「取消し」と聞くと難しく聞こえますが、「取消し」の意味を知れば、そう難しいものではありません。
「取消し」は、「予約の取消し」など、何かを解消するといった意味があります。
そのことを踏まえ、行政行為の「取消し」においては、行政行為に伴う成立当初から何らかの瑕疵。
つまり、過失や欠点、キズなどがあった場合、その行政行為の効果は失われるといった意味となります。
つまり、行政行為の「取消し」の場合、行政行為の瑕疵があった時点にさかのぼり、その効果が失われるということになります。
行政行為の「撤回」とは?
行政行為の「撤回」と聞くと難しく聞こえますが、「撤回」の意味を知れば、そう難しいものではありません。
「撤回」は、いったん提出、公示したものなどを取り下げるといった意味があります。
そのことを踏まえ、行政行為の「撤回」には、成立当時には瑕疵。
つまり、過失や欠点、キズなどはなかったものの、その後、何らかの瑕疵が生じ、その効果を将来に渡り無効にするといった意味となります。
つまり、行政行為の「撤回」の場合、何らかの行政行為の瑕疵が認められた時点から将来に向かい、その効果が失われることを意味するものとなります。
行政行為の「取消し」と「撤回」の違い
同じ行政行為となる「取消し」と「撤回」ですが、その時期に大きな違いがあります。
何らかの瑕疵が認められた際に行うといった共通点があるものの、その時期が異なり、行政行為の「取消し」の場合、成立時に何らかの瑕疵が認められ、その成立時にさかのぼり効力が消滅するものとなります。
その一方、行政行為の「撤回」の場合、成立時に何らかの瑕疵が認められ、その時点から将来に向い効力が消滅するものとなります。
行政行為の「取消し」の場合、成立時までさかのぼり効力が消滅するということで、例えば、運転免許証交付時に年齢偽証などの瑕疵があったことがわかった場合、免許交付時にさかのぼり運転免許証の効力が失われることとなります。
これが、行政行為の「取消し」です。
一方、運転免許証取得後、飲酒運転や人身事故などを起こし運転免許のすべての点数がなくなった場合、その時点から運転することができなくなってしまいます。
この場合、一般的な言葉では「取消し」が使われますが、厳密に言えば、これが、行政行為の「撤回」です。
その時点で効力が失われるからです。
まとめ
以上のように、行政行為の「取消し」と「撤回」には、時系列に大きな違いがあります。
そのため、いつ瑕疵が見つかったのか、瑕疵となることが起きたのか、を踏まえ、成立時までさかのぼり失うことになるのか。
それとも、今から将来に向かい失うものとなり、過去のことは関係ないのか。
といったことを理解し、行政行為の「取消し」と「撤回」を使い分ける必要があります。