「隠匿」
この隠匿は「いんとく」と発音し、悪い意味で使います。
その為、見聞きすることはあっても、自分で使う機会はないに限ります。
ですが、ニュースなどで聞く機会も多い言葉なので、意味だけはしっかりと覚えておくといいでしょう。
「隠匿」の意味
隠匿とは、「隠す」ことを意味する言葉です。
ただ隠すというだけでなく、悪事に関係している(と思われる)人物や物品を隠す時に使われます。
よって、いい意味で用いられることはないと言っていいでしょう。
使う場合には、「〜を隠匿した」などという形になりますが、その行為自体が罰則の対象になることもあるので、このようなことはしないに限ります。
「隠匿」の類語と解釈
隠匿と同様に、悪い意味でしか使われない類似した言葉を挙げていきます。
どれも似た意味ながら、多少の違いがあります。
「隠蔽」(いんぺい)
この「隠蔽」は、悪事に関することを「隠す」という意味では「隠匿」と一緒ですが、その悪事自体に対して使う言葉です。
つまり、事件そのものや、それに相当する行為、起きた出来事などが対象です。
「事件を隠蔽しようとした」といった使い方になり、一目で悪いことが表現されていると分かります。
人物や物品には「隠匿」で、形のないものの場合はこの「隠蔽」と覚えておいてください。
「蔵匿」(ぞうとく)
こちらは、人物だけに使える言葉です。
意味は「隠匿」と同じで、その対象から物品が外れただけだと考えて構いません。
事件の犯人(だと確定している人物)を故意に隠すと、「犯人蔵匿罪」という罪に問われることがあります。
「隠滅」(いんめつ)
「隠滅」は、人物や物品を消し去ってしまうことです。
主に物品に対して使う言葉で、人物には(人物の場合は消し去る訳にはいかないので、「隠す」ことになる為)あまり使いません。
やはり、これも悪い意味で使われる言葉なので、「隠滅した」と言えば、ただ消しただけではなく、悪事絡みの何かを消し去ったということになります。
「隠匿」の言葉の使い方
隠匿は、そのようなことをしてしまった時、もしくは誰かがそれをしたのではないかと疑ったり、その証拠がある時に使う言葉です。
隠すだけでなく、消し去って(消去)してしまった時には、上で紹介した「隠滅」の方を使います。
「隠匿」を使った例文・解釈
隠匿を使った例文です。
いい意味のある言葉ではないので、以下の例も悪事が絡んだものばかりです。
犯罪行為ではなく、ちょっとした悪いことに対して使っている例も挙げてみます。
「隠匿」の例文1
「証拠を隠匿した疑いで聴取されたらしい」
証拠隠匿罪という罪自体はありませんが、そこから犯人蔵匿罪や信書隠匿罪といった形に発展し、逮捕に及ぶケースも珍しくありません。
この場合の信書とは、文章だけでなく、公共の器物も対象になります。
「隠匿」の例文2
「あのメールは隠匿したので、気付かれることはないはずだ」
そのメールが誰かに見られると都合が悪い為、隠したというケースです。
隠匿はこのように、ちょっとした悪いことをした時にも使える言葉です。
「隠匿」の例文3
「あいつを隠匿しておけるのも2日が限度だ」
この文章では事情までは分かりませんが、2日ならその人物を隠しておけると言っています。
隠匿という言葉を使っているので、大なり小なり、悪いこと(犯罪とまではいかなくても)が絡んでいるのは言うまでもないでしょう。
「隠匿」の例文4
「あのエラーを隠匿したままリリースする訳にはいかないだろう」
エラーが対象なので、「隠蔽」の方が合っていますが、この場合なら「隠匿」も使うことができます。
現象に対しては「隠蔽」が適切な表現になりますが、事件自体や出来事ではないこのエラーのような(比較的小さい)対象なら、「隠匿」と表現しても構わないという例です。