特定の栄養素が不足している状態のことを「〇〇欠乏症」と言いますが、「不足」と「欠乏」は何が違うのかご存じですか。
この記事では、「不足」と「欠乏」の違いを分かりやすく説明していきます。
「不足」とは?
「不足」とは、足りないこと、十分でないことを意味する言葉です。
また、不満足と同様の意味も持ちます。
「不足」を英語にすると“lack”です。
「不足」の対義語は、「充足」で、類義語には「不十分」「不備」「不完全」などがあります。
「不足」の使い方
「不足」は、足りないものの程度に関係なく使える言葉です。
例えば『ICカードの残額が10円不足していて改札を通れなかった』『生きていくための食料が不足している』というように、足りないものが重要であるかどうか、大きいかどうかを問わずに使うことができます。
不満足と同じような意味で用いる場合には、『彼ならライバルとして不足はない』というに使います。
「欠乏」とは?
「欠乏」は、乏しいこと、不足することを意味します。
「欠」は、欠ける(かける)と読み、「乏」は、乏しい(とぼしい)と読みます。
単純に何かが不十分な状態というよりは、ある程度重要性のあるものが決定的に足りていない状態のことを指します。
そのため、1,000円の買い物をしようとして、100円だけ足りなかったような場合に「100円が欠乏している」というような使い方はしません。
英語では、“deficiency”と言います。
似た意味の言葉としては、「欠如」や「払底(ふってい)」などがあります。
「充足」や「豊富」は、「欠乏」の対義語にあたります。
「欠乏」の使い方
冒頭に書いたように特定の栄養素が不足することによって引き起こされる症状を「〇〇欠乏症」と言います。
「欠乏」は、話し言葉よりも書き言葉で使われることが多い言葉です。
具体的には、次のような使い方をします。
『資金が欠乏する』
『村の食料が欠乏する』
「不足」と「欠乏」の違い
「不足」は、何かが足りていないこと全般を指しますが、「欠乏」は、必要なもの(大事なもの)が足りていないイメージを持つ言葉なので「不足」の中に「欠乏」が含まれていると考えられます。
厳密な使い分けについて決まっているわけではないようですが、どちらも使える場合とどちらか一方しか使えない場合があります。
例えば、『食料が不足する』と『食料が欠乏する』はどちらも違和感がありませんが、『千円が不足している』と『千円が欠乏している』の場合には後者に少し違和感があります。
「欠乏」を使うのが間違いだとまでは言い切れませんが、読み手や聞き手に違和感を与える表現はなるべく避けた方がいいでしょう。
まとめ
以上、「不足」と「欠乏」の違いについての解説でした。
両方とも使えるのか、それともどちらか一方しか使えないのかについての判断はなかなか難易度が高いですが、実際に文章にして見比べてみたり、声に出して読んでみるととわかりやすくなります。