水族館や動物園で人気者の「シロクマ」「ホッキョクグマ」ですが、実はこの二つは違う生き物です。
この記事では、「ホッキョクグマ」と「シロクマ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ホッキョクグマ」とは?
「ホッキョクグマ」は、食肉目クマ科の哺乳類で、北極圏及びその周辺に住む生き物です。
首が比較的長く、頭胴長は約2. 4メートルです。
幼時は、毛は真っ白ですが、成獣になると黄色みを帯びます。
手足が大きく、泳ぎがうまいため、主食はアザラシや魚です。
「ホッキョクグマ」は飼育した状態で自然繁殖させることが難しいとされていますが、日本国内では、札幌市円山動物園、秋田県立男鹿水族館、大阪市天王寺動物園の三か所で自然繁殖に成功しています。
カナダの先住民族であるイヌイットは、伝統的に「ホッキョクグマ」の肉を食料としています。
日本で初めて「ホッキョクグマ」を飼育したのは上野動物園です。
「ホッキョクグマ」は、漢字で「北極熊」と表記されます。
「ホッキョクグマ」は、英語で“polar bear”と言います。
「シロクマ」とは?
国語辞典では、「シロクマ」は、「ホッキョクグマの別名」と説明されていますが、厳密には違うようです。
「シロクマ」は、もともと茶色や黒い毛を持つツキノワグマなどの熊が、アルビノという遺伝子の疾患によって白い体で生まれたものを指します。
アルビノの動物は、先天的な遺伝子の疾患のせいでメラニンが形成されず、本来の色彩が発現しない状態で生まれてきます。
ツキノワグマは、クマ科の哺乳類で、ヒマラヤ地方から中国・朝鮮半島・日本にかけて分布しています。
ツキノワグマは本来、体毛が黒く胸の上部に三日月形の白斑があります。
日本でもともと「シロクマ」と呼ばれていたのは、アルビノのツキノワグマでした。
「シロクマ」は、英語で“white bear”と呼びます。
「ホッキョクグマ」と「シロクマ」の違い
「ホッキョクグマ」は、北極圏に生息する白い熊のことで、「シロクマ」は、ツキノワグマなどの本来は黒や茶の毛を持つ熊のうち、アルビノとして生まれたために白い毛を持つもののことです。
本来「シロクマ」は、特定の種を表す名称ではありません。
「シロクマ」という名称は、日本で最初の「ホッキョクグマ」の飼育がおこなわれる前から使われていました。
「ホッキョクグマ」が日本に来た当時、日本ではアルビノの白いツキノワグマを「シロクマ」と呼んでいたため、それと区別するために北極に生息する熊の方の和名を「ホッキョクグマ」にしました。
このように、本来「ホッキョクグマ」と「シロクマ」は違う生き物を意味しますが、現在では混同され「ホッキョクグマ」を指して「シロクマ」と言います。
まとめ
「シロクマ=ホッキョクグマ」とされているため、そのような認識は必ずしも間違いではありません。
しかし、「ホッキョクグマ」と「シロクマ」は本来全く別の生き物です。