「出向」と「移籍」はどちらも人事異動の一種ですが、それぞれ違う意味を持ちます。
この記事では、「出向」と「移籍」の違いを分かりやすく説明していきます。
「出向」とは?
「出向」とは、でむくこと、命令を受けて、籍をもとの所に置いたまま他の役所や会社などで勤務につくことです。
人事異動としての「出向」は、出向元の事業主と何らかの関係を保ちながら出向先の事業主との間に新たな雇用契約を結んで継続的に勤務することを意味します。
ドラマなどでは「出向」は嫌がらせや制裁の手段として使われることもあるため、「出向」にネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし、「出向」は、人材育成や人事戦略、企業間交流を目的として行われることも多いため、必ずしも悪いものというわけではありません。
「出向させる」は英語で“second”といいます。
「出向」の使い方
動詞として使う場合は「出向する」という形で用いられます。
「在籍型出向」とは、出向のうち、出向元と出向先の両方の事業主との間に雇用関係があるもののことです。
「移籍型出向」は、出向のうち、出向元との事業主との雇用関係は終了し、出向先の事業主との間にだけ雇用関係があるもののことです。
「転籍出向」とも呼ばれます。
「移籍」とは?
「移籍」とは、所属を他へ移すことです。
婚姻・養子縁組などで、ある人がある戸籍から他の戸籍に移ることを指して使われることもあります。
「籍」とは、人別・戸別・地所などを書き記した帳簿のことです。
「移籍」の使い方
動詞として使う場合は「移籍する」という形で用いられます。
「移籍金」は、サッカーなどで選手が契約期間中に移籍する際に、移籍先の団体が現在の所属団体に対して支払う金のことです。
「移籍出向」という言葉がありますが、これは「移籍型出向」のことです。
「出向」と「移籍」の違い
本来の意味としては、「出向」は、出向くこと、「移籍」は、籍を移すことです。
一般的に、人事異動について「出向」という場合は、「在籍型出向」を指し、「移籍」という場合は、「移籍型出向」を指します。
したがって、「出向」は、出向元との雇用関係が継続しますが、「移籍」は、井関元との雇用契約が終了するという違いがあります。
「出向」の例文
・『地方の営業所への出向が決まった。』
・『業績を立て直すために、子会社に出向する。』
・『出向先での勤務も今日で終わりだ。』
・『社長に逆らうと出向されるかもしれない。』
「移籍」の例文
・『あの選手は他のチームに移籍するらしい。』
・『今回の出向はどうやら移籍出向のようだ。』
・『多額の移籍金を払うことを条件に移籍を承諾した。』
・『移籍後初のゴールを決めた。』
まとめ
「出向」には、「在籍型出向」と「移籍型出向」があります。
「出向」は元の会社との契約が継続し、「移籍」は元の会社との契約が終了します。