日本語の中には、同じ様な意味合いを持つ似た様な言葉が多く存在します。
そのため言葉を正しく使い分けようとすると、どの言葉を選べば良いか迷ってしまうケースが少なくありません。
特に社会人となり、畏まった場で話をしたり、或いはプレゼンの資料等を作成したりする際には、正しい言葉を選び出して使用しないと恥ずかしい思いをする事になります。
「凶暴」と「狂暴」はそんな風に似た意味合いを持つだけでなく、ぱっと見の字面も似ている上に読み方も同じという非常にややこしい組み合わせの言葉です。
「凶暴」とは?
凶暴とは、きょうぼうという読み方をする言葉となっています。
悪や悪人という意味を持つ凶という文字と、あばれるという意味の暴という漢字の組み合わせである事からも理解出来る様に、残忍な性質を持ち乱暴な事や、非常に荒々しい振る舞いに対して用いられる言葉です。
つまりは、悪人と呼べる程に残忍な性質を持った人、乱暴な振る舞い自体に対して用いられる事が多くなっています。
或いは人を襲って来る様な危険な動物に対しても、この凶暴という言葉が用いられるのです。
具体的には、彼女は凶暴な連続殺人犯に殺されてしまった、とか、凶暴な熊に襲われたが命からがら逃げ延びた、といった使い方が出来ます。
「狂暴」とは?
狂暴とは、きょうぼうという読み方をする言葉です。
くるうという意味を持つ狂という漢字と、あばれるの意味を持つ暴の漢字の組み合わの言葉である事でも分かる様に、正気を失い狂った様に暴れる事や、その様を表す言葉となっています。
つまり一時的な錯乱状態により、暴れ回っている様子を表す言葉であるだけに、その対象は何をしでかすか分からないという身の危険を感じさせる様な恐怖も含まれているのです。
そのため人間だけでなく動物にも、用いられる事があります。
具体的には、普段は大人しい彼も酒を飲むと狂暴になる、とか、男は次に何をしでかすか分からない程に狂暴化した、といった使い方が可能です。
「凶暴」と「狂暴」の違い
2つの言葉はどちらも人間や動物等の、暴力的な恐ろしい性質や行いを表す際に使用する言葉となっています。
しかも意味合いだけでなく、きょうぼうという読み方まで同じである点は非常にややこしいです。
ですがこの2つの言葉の違いを見出すとすると、狂暴という言葉が用いられる方がより恐ろしくレアなケースであると言えます。
というのも凶暴の方は、人や動物の本性とも言える暴力性を表す意味で用いられるのに対し、狂暴は本性ではなく、一時的な錯乱状態で正気を失っている際に用いられるので、より歯止めがきかない状況であると言えるのです。
まとめ
凶暴と狂暴はパッと見の字面も似ていて、乱暴だったり残忍な様や行いを示すといった形で意味合いも似ている言葉同士となっています。
しかも、きょうぼうと同じ読み方をする点も更にややこしいです。
この様に非常に似た言葉同士ですが違いを見出すとすれば、狂暴の方は正気すら失い、より歯止めがきかない暴力的な状況を表す際に用いるべき言葉となっています。