「残酷」と「冷酷」の違いとは?分かりやすく解釈

「残酷」と「冷酷」の違い違い

この記事では、「残酷」「冷酷」の違いを分かりやすく説明していきます。

「残酷」とは?

「残酷」【ざんこく】とは、平気でひどい行いをするさま、むごたらしいさまのことです。

あるいは、慈悲が感じられないほどの厳しさも意味します。

漢字の「残」には、むごいという意味があります。

旧字は、肉を削った後の白骨を意味する「がつ」へん、散らばった骨を表す「せん」を組み合わせて作られています。

「残」「のこりもの」を意味すると同時に、しかばねが散乱するような悲惨な状況を表す漢字でもあるのです。

そして漢字の「酷」は度を越した厳しさ、思いやりがない、むごい、という意味を持ちます。

むごいという意味を持つ2つの漢字で構成される「残酷」は、目が当てられないほどむごたらしいさま、厳しいさまを現わす言葉になっているのです。

「残酷」は、主に人が行うふるまい、起こっている事象に対し「無慈悲だ、ひどい」と感じる時に用います。

「残酷非道」【ざんこくひどう】という熟語もあります。

これは、慈悲の心がないうえ、人の道に外れたひどいふるまいをしていることです。


「残酷」の例文

・『肉食動物が草食動物を狩る光景は残酷に見えるが、自然の営みなので仕方がない』
・『困っている人をだまして金を巻き上げるなんて、なんて残酷なことをする者がいるんだろう』


「冷酷」とは?

「冷酷」【れいこく】とは、冷たく慈悲の心が感じられないさま、むごいふるまいのことです。

漢字の「冷」は心が冷たいことを意味し、「酷」はむごい、厳しいことを意味します。

「冷」「酷」が組み合わされ、慈悲を持たない冷たい人がむごいふるまいや厳しい扱いをしていることを表しています。

熟語には「冷酷無情」【れいこくむじょう】があります。

これは、冷たく慈悲の心がまったくないという意味です。

「冷酷」の例文

・『彼は常にクールで部下にとても厳しく、冷酷な男だと言われている』
・『嫌いな相手には冷酷な態度をとる』

「残酷」と「冷酷」の違い

「残酷」「冷酷」の違いを、分かりやすく解説します。

どちらも漢字の「酷」を含み、慈悲がないこと、むごいこと、厳しいことを表す言葉になっています。

「残酷」はむごいことを意味する「残」がつき、それは目も当てられようなむごい行為を指します。

一方「冷酷」「冷」が心の冷たさを意味し、むごい行為を平気でするような慈悲のなさ、むごさを表します。

両者は意味の重複する部分が多く、互いに置き換えても意味が通じることが多いです。

ただし「残酷」は行為や現象のむごさを指表すのに対し、「冷酷」は人の気質や態度のむごさを表しているところが異なっています。

「冷酷」は主に人が行ったふるまいに対して使われるもので、事象を形容する場合にはあまり用いません。

ですから「残酷な人生」「残酷な結果」「冷酷な~」に置き換えると違和感が生じます。

まとめ

「残酷」「冷酷」はむごさ、無慈悲を意味し、互いによく似ています」ただし、言葉の持つ意味を紐解くと意味やニュアンスは微妙に異なっていることがわかります。

両者の真意を理解し、状況によって的確に使い分けていきましょう。

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