この記事では、「怨霊」と「悪霊」の違いを分かりやすく説明していきます。
「怨霊」とは?
「怨霊」とは、おんりょうという読み方をすべき言葉です。
文字で表記されているのを目にすれば分かる様に、うらむとかうらみといった意味を持つ怨の文字に、死者の魂とか肉体とは別に存在すると考えられる心の本体いった意味を持つ霊を加えて出来た言葉となっています。
なので「怨霊」とは、己が受けた仕打ちに憎しみを抱いて祟りする死霊や生き霊を表す言葉です。
「怨霊」の使い方
「怨霊」という言葉は、主に怨念を抱いて亡くなった死者の霊に対して用いられる言葉だったりします。
ただし明確にその死霊が悪さをしているのを目にするだけでなく、何か災いが起きた際に、恨みを持って死したあの者の怨霊のせい、という形で推測して使用されたりします。
更に死者の霊だけでなく、生きていながらも祟りを起こす生き霊に対しても怨霊という言葉を使う事が可能です。
「悪霊」とは?
「悪霊」とは、あくりょうと読むべき言葉となっています。
使用されている漢字を見れば理解可能ですが、邪な事やわるい事といった意味を持つ悪の字に、霊魂や死者の魂という意味を有する霊を付け加える事で成立した言葉です。
そのため「悪霊」は、物の怪や人に対して災いをもたらす悪しき霊の事を表す言葉となっています。
「悪霊」の使い方
「悪霊」は、人間を呪ってその人間に災いをもたらす霊に対して使用される言葉です。
ただし「悪霊」の姿が見えなくても悪い事が起きると、悪霊のせいではないか、といった具合にこの言葉が使われる事が珍しくありません。
加えて悪霊は、死者の霊に対して使用される事が多いものの、生き霊に対しても使う事が可能な言葉です。
「怨霊」と「悪霊」の違い
「怨霊」と悪霊の文字を比べれば、最初に使用されているのが怨と悪という違いに即座に気付く事が出来ます。
ただしどちらも人に災いや苦痛をもたらす様な霊に対して使われる言葉であるため、混同してしまう人が少なくありません。
ですが怨霊の方は基本的に特定の相手に怨みを持ち、その怨みを晴らすために災いをもたらす霊の事です。
一方の悪霊は不特定多数の人に災いをもたらす霊の事で、怨霊を含めたより広い意味合いを持っています。
「怨霊」の例文
・『この塚は祟りを起こした怨霊の怒りを鎮めるために造られた物です』
・『彼の描く怨霊の絵は表情に怨みがこもっていて凄くリアルに感じられます』
「悪霊」の例文
・『彼女は悪霊に取り憑かれてしまったかの様にいきなり大声で叫び出した』
・『かつてこの家で起きた惨劇を思えば、悪霊がいてもおかしはない』
まとめ
2つの言葉には、最初の文字が怨と悪という明確な違いが見られます。
もっともどちらも災いをもたらす霊と、似通った意味を持っている点はややこしいです。
とはいえ「怨霊」の方は、特定の人や一族に怨みを持ちその怨みを晴らすために災いを起こす霊の事を表します。
対して「悪霊」の方は、不特定対数の人に対して災いをもたらす様な悪しき霊魂の事です。
だからこそ「悪霊」の方が持つ意味合いが幅広く、怨霊も含める事が出来ます。