この記事では、「縁」と「相性」の違いを分かりやすく説明していきます。
「縁」とは?
「縁」【えん】とは、物事の間接的な原因、人と人の結びつきや血縁関係、または人が結びつくきっかけなどのことです。
えにし、ゆかり、などさまざまな読み方があります。
「縁」は、仏教の「すべての物事には縁と因が関係している」という教えから出てきた言葉です。
仏教では、「因」(物事の原因)に「縁」(間接的な原因、環境)が関わり合って結果が生まれるのだと教えています。
これを「因縁生起」または「縁起」【えんぎ】と呼んでいます。
また「縁」は人のめぐり合わせや関係性も意味しており、人の意志に関係なく生まれる出会いや運命を表す言葉になっています。
「縁がある」とは、人と人の結びつくきっかけがあることです。
一般に「ご縁」「良縁」は良い結婚相手が見つかることを指し、好ましくない関係が切れないことは「悪縁」「腐れ縁」と呼ばれます。
「縁」は運や生まれ持った環境、外部からはたらく力のようなもので、自分で操ることができないものです。
一方、物事のきっかけはその人がとった行動から生まれることから「縁」は自分で導き出すこともできるという考えもあります。
ちなみに「ふち」と読む場合は、物のへりにあたる部分を指します。
「縁」の例文
・『行く先々で会うなんて、私たちは縁があるのかもしれないね』
・『同じ趣味が縁となり、二人の交際が始まった』
・『まったくの病気知らずで、医者に縁のない人生を送っているよる』
「相性」とは?
「相性」【あいしょう】とは、互いの価値観や性格が合うかどうかを指す言葉です。
機械に使われる部品がしっくり合っているかどうか、という意味でも使われています。
「相性」は、中国の陰陽五行思想から生まれた言葉で、それぞれの属性が互いにはたらいたときに起こる作用の良し悪しを意味しています。
互いに良い作用が起こる組み合わせは「相性」が良い、その逆の組み合わせは「相性が悪い」ということです。
元は万象を対象とした用語でしたが、時代が変わり人同士の価値観や性格の合い方を指す言葉として使われるようになりました。
「相性」の良し悪しは当人同士の主観で決まるもので、度合いを測るものさしはありません。
一般には、価値観、性格、好みなどが共通するほど互いに共感しやすく、一緒にいて物事がうまくいきやすいので「相性」が良いといわれています。
「相性」の例文
・『私と彼はとても相性がいい』
・『この金属と相性の良いメッキを探している』
「縁」と「相性」の違い
「縁」と「相性」の違いを、分かりやすく解説します。
「縁」【えん】は物事の間接的な原因、人と人の結びつき、そのきっかけになるものです。
「相性」は互いの組み合わせの良し悪しを表す言葉です。
「縁」はその人の属性に関わらず運や環境によってもたらされるもので、自分ではどうすることもできない部分があります。
しかし「相性」は互いの属性によって決まるものなので、努力によって「相性」の良い属性の持ち手を探すことができます。
「縁」と「相性」は、どちらが欠けても良いめぐり合わせが見つからないといわれます。
どちらも大切なものなのです。
まとめ
「縁」と「相性」は互いい似ている印象もありますが、言葉の出どころや意味合いは異なります。
恋愛、友人関係、占いなどの話題で日常的に口にする言葉です。
言葉の持つ意味を再認識し、混同しないように適切に使い分けていきましょう。