この記事では、「暫く」と「漸く」の違いを分かりやすく説明していきます。
「暫く」とは?
「暫く」は、「しばらく」と読みます。
「暫く」には少しの間という意味があり、すぐではないものの、あまり時間がかからないことを指す言葉です。
明確な時間を表すものではなく、感覚的に少しの間といったことを伝える際に「暫く」が用いられます。
「暫く」を別の言葉で置き換えた場合、「少しの間」や「一時」、「暫し」、「寸刻」、「少時」などとなります。
「暫く」の使い方
「暫く」は、「しばらく」と平仮名で用いられることが多く、「しばらくの間、お待ちください」などがよく用いられる言葉です。
そのほか、「暫く(しばらく)会わない間に」や「暫く(しばらく)の間」、「暫く(しばらく)続く」などがあります。
「漸く」とは?
「漸く」は、「ようやく」と読みます。
「漸く」には、長い間待ち望んでいた事態がついに実現するさまや苦労した結果、目標が達成できるようす、に加え、ゆっくりと、といった意味もあります。
「漸く」を別の言葉で置き換えた場合、「やっと」や「何とか」、「苦労の末」、「どうにか」、「徐々に」などとなります。
「漸く」の使い方
苦労した結果を表す際に用いられる言葉となる「漸く」。
そのため、「夢が漸く実現する」、「漸く完成する」といったように「漸く、○○することができた」といった使い方がおおくなります。
「暫く」と「漸く」の違い
同じ「時」を表す言葉ですが、その「時」に対するニュアンスに大きな違いがある「暫く」と「漸く」。
「暫く」は、すぐではないもののあまり時間がかからないことを意味し、「漸く」は、長い時間待ち望んでいたことがやっと実現する、叶う、といった意味があります。
単にあまり長い時間ではないことを意味する「暫く」とはことなり、待ち望んでいたという気持ちが込められたものが「漸く」となります。
「漸く」の裏には、苦労したことが込められているのです。
「暫く」の例文
・『暫く、こちらでお待ちいただけますでしょうか。』
・『この状況が暫く続くと予想されるため、注意してください。』
・『申し訳ございませんが、ここに暫く置いといていただく事は可能でしょうか。』
・『姪っ子が暫く会わない間に、すっかりお姉さんになっていました。』
「漸く」の例文
・『5年がかりで取り組んできた研究が、漸く終わろうとしています。』
・『今まで忙しく見ることができなかったドラマを漸く見ることができました。』
・『漸く目的に到着することができ、みんなで安堵しました。』
・『様々なトラブルが発生しましたが、漸く、全ての日程を終了させることができました。』
まとめ
以上が「暫く」と「漸く」の違いです。
同じ「時」を表す言葉でも、意味が全く異なるため、適した使い分けが必要です。
少しの間を相手に伝えたい場合は「暫く」。
やっとの思いで苦労が実る、実現することができる、といった場合は「漸く」です。