「嘆願」と「懇願」、このふたつの言葉はどちらもだれかになにかをお願いする際に使う言葉ですが、使われている漢字が難しいということもあり、はっきりとした意味を知らないという方がほとんどだと思います。
この記事では、「嘆願」と「懇願」の違いについて分かりやすく説明していきたいと思います。
「嘆願」の意味とは?
「嘆願」とは、ある事実について詳しく述べて伝えた上で、熱心に頼み込むことをいいます。
また、頼み込むのほかにも、ある事実やものごとについて詳しく述べた上で、熱心に願うことという意味も持っています。
実現がかなり困難なことを人に頼み込むときや、神様に願う神頼みのようなものも「嘆願する」といいます。
神頼みのような意味は持っていますが宗教的な言葉ではなく、どちらかというとビジネスシーンや普段の日常での少し真面目な堅いシーンで使われるような言葉です。
口頭で使うことはあまりないような言葉ですが、「その事実やものごとについて詳しく話した上で、熱心に頼み込むこと」を文面で書くときは、「嘆願」を使う機会も多いです。
「懇願」の意味とは?
「懇願」とは、折り入って頼み、ひたすら願うことをいいます。
また、ねんごろに願うことという意味もありますが、先程のひたすらに願うことと同じ意味です。
ビジネスシーンや日常生活でも使われる言葉であり、誠意をもって頼み込むことという意味があるので、どうしても聞き入れてもらいたいお願いがあるという場面で真剣に真面目に使う言葉です。
分かりやすく言うと心から願うこと、となります。
口頭で「懇願する」と使うことは少ないのですが、文面で使うことの多い言葉です。
「嘆願」と「懇願」の違いについて
「嘆願」と「懇願」は、使われている漢字も難しく意味もほとんど同じように思える言葉ですが、実ははっきりとした違いがあります。
まず「嘆願」は「あるものごとや事実について詳しく伝えたり述べたり話したりした上で、熱心に頼み込むこと」という意味を持っている言葉です。
「嘆願」の特徴となっているのが「あるものごとや事実について詳しく伝えたり述べたり話したりした上で」という部分です。
「熱心にお願いする」の前提に先程の部分があるのが特徴です。
対する「懇願」は、「折り入って、ひたすらに誠意をもって願うこと」という意味を持っている言葉でした。
「嘆願」と比べたときに違っている点は、「あるものごとや事実について詳しく伝える」という意味は持っていないということです。
つまり、「嘆願」は「お願いするものごとについて詳しく伝えた上で、熱心にお願いする」、「懇願」は「ただ単に誠意を持ってひたすらに願う」という意味の違いがあります。
「嘆願」を使った例文を紹介
・『地元出身のアイドルに、災害の復興イベントに出てもらえないかと嘆願したところ、快くOKしてくれた。彼女は内面もとても素敵な女性である。』
「懇願」を使った例文を紹介
・『高校生にもなって親に頼るのは気が進まなかったのだが、僕が進学する大学がある地域は相当な田舎であり、どうしても車が必要だ。ものすごく安い中古車でいいから買ってくれないかと懇願した。』
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「嘆願」と「懇願」には、お願いするものごとについて詳しく伝えるかどうかで使い分けが必要である言葉でした。