「一役を担う」について
この「一役を担う」(いちやくをになう)は、「一翼を担う」(いちよくをになう)の誤用です。
よって、以下の意味などの説明は、主に元の「一翼を担う」のものです。
「一役を担う」の意味とは
「一役を担う」の本来の表現である「一翼を担う」は、「一部の役目を担当する」という意味で使います。
「一翼を担える存在」という使われることが多く、意味は「一部の役目を担うに相応しい存在」となります。
この言葉が「一役を担う」と誤用されることが多いのは、読み方の「いちよく」と「いちやく」が似ているという点と、「一役買う」(ひとやくかう)という似た意味の言葉がある為、こちらと混同してしまっている考えられています。
尚、「一役」は普通は「ひとやく」と読み、「いちやく」とは発音しません。
「一役を担う」の言葉の使い方
一役を担うは、そのまま使うと恥ずかしい思いをしてしまうので、必ず正しく「一翼を担う」と使ってください。
このような誤用がそのまま定着し、その後に正しい表現と認められた例とに「的を得る」(まとをえる)という言葉があります。
この言葉の元は「的を射る」(まとをいる)で、それの読み間違いから、「的を得る」という言葉が生まれてしまいました。
しばらくは「一役を担う」のように、単なる誤用だとされていましたが、「的を得る」と使われることの方が多くなってしまった為、そちらも同様の意味の言葉として認められることになった次第です(今では正しい言葉だと辞書などにも掲載されています)。
「一役を担う」も、今度そのように正しい表現として認められる可能性がありますが、現在では単なる誤用なので、そのまま使わないように注意してください。
「一役を担う」を使った例文
一役を担うを使った例文を挙げたいところですが、正しい表現の「一翼を担う」として挙げていきます。
誤用で「一役を担う」と使ったとしても、意味は全く一緒です。
「一役を担う」の例文1
「君ならこのプロジェクトの一翼を担えると信じている」
その人が、プロジェクトの中で何かしらの役目を担当できる技術や実力があると信じているようです。
誤用の元となったと考えられている「一役買う」は、自らそのような役目を買って出ることなので、この言葉とは多少意味が異なります。
「一役を担う」の例文2
「とても自分に一翼を担えるとは思えない」
自分にはとても荷が重いをいう使い方です。
「一翼を担う」は、一部の役目を担当することですが、その一部さえ自分には無理だと言っていることになります。
「一役を担う」の例文3
「うちの会社があの巨大システムの一翼を担っていることは意外と知られていない」
色々な会社によって作られたシステムの一部を、自分たちの会社が担当していると言っている例文です。
先にも書きましたが、「一翼を担う」は、この「担っている」や上の「担える」という形で使われることが多い言葉です。
「一役を担う」の英語と解釈
一翼を担うを英語にするなら、“to play a part”がいいでしょう。
「一部の役割を果たす」となり、「一翼を担う」と同様の意味で使えます。
英語では「一役を担う」のような誤用表現を気にする必要はありません。
「一役を担う」の類語や類義表現
一翼を担うと似た意味の言葉や表現です。
「一役買う」については、既に説明しているので外しています。
「一端を担う」(いったんをになう)
この言葉は、「一翼を担う」と同じ意味で使えます。
類義語と表現するより、言い換えと言った方がいいかも知れません。
「一助となる」(いちじょとなる)
「一翼を担う」より、小さい力にしかならないことを表現する言葉です。
「一助になるよう努力します」と使って、「ほんの一部分の力にしかなれませんが努力します」という意味になります。