商売をするためにかかる費用を指す言葉として「仕入れ値」と「原価」があります。
どちらもよく聞く言葉ですがこのふたつはどのように使い分けられているのでしょうか。
今回は、「仕入れ値」と「原価」の違いについて解説します。
「仕入れ値」とは?
「仕入れ値」とは「仕入れた時の値段」という意味の言葉です。
商店で品物を販売するには何らかの方法で売るための品物を用意しなくてはいけません。
用意する方法として一般的なのが問屋や卸売店から購入する方法です。
商店が売るための品物を問屋や小売店から購入することを「仕入れ」と言います。
「仕入れ値」とは「仕入れの時の価格」を指しています。
商店は「仕入れ値」で購入した品物にいくばくかの利益を乗せて販売し、ふたたび仕入れを行い販売するというサイクルを繰り返して商売を行います。
「仕入れ」にかかった金額が「仕入れ値」なのでそれ以外の経費や出費は含みません。
例えば、パン屋では商品であるパンを作るためにオーブンを使いますが、オーブンを使うために必要な電気代は「仕入れ値」とは言いません。
対称となるのは問屋や卸から「仕入れ」るのにかかった費用のみです。
「仕入れ値」の使い方
・仕入れ値を考えて販売価格を決める。
・この金額では仕入れ値よりも安くなってしまい損失が発生する。
・大量買い付けにより仕入れ値をおさえることに成功した。
・仕入れ値の口頭により値上げせざるを得ない。
「原価」とは?
「原価」とは「何かを達成するために必要なお金」を指す言葉です。
一般的に「原価」といえば「何かを作る、あるいはするためにかかった金額」という意味で使われています。
「製造原価」なら製造のためにかかった費用を全て合計した金額を指します。
ものを作るために必要だった部品代や原材料代、サービスを提供するためにかかった人件費などが「原価」に当たります。
「原価」にはいくつかの捉え方がありますが基本的な考え方は共通しています。
「原価」の使い方
・創意工夫で原価をおさえる。
・原価がかかりすぎて作れば作るほど赤字だ。
・この製品の原価はいくらだろう。
・ついつい原価を気にしてしまうのは悪い癖だ。
「仕入れ値」と「原価」の違い
「仕入れ値」と「原価」は会計用語としては全く同じ意味の言葉として使われています。
一般的な違いとしては「そのままの形か、加工されているか」で区別されています。
一般に「仕入れ値」という場合は品物や原料単体の価格のことを指します。
テレビや洗濯機など仕入れたものに手を加えずそのままの形で姿で販売する物に対して「仕入れ値」が使われます。
「原価」は「作るのに必要な元となるお金」なので、加工品や組み立てられた機械など複数の材料や部品などを作るのにかかった金額の合計を指します。
例えば、10円分の小麦粉と20円分のバターを仕入れてパンを製造した場合、パンを作るのにかかった30円が「原価」に当たります。
「仕入れ値」は直接仕入れた金額を指す言葉なので小麦粉の10円、バターの20円がそれぞれの仕入れ値となります。
まとめ
「仕入れ値」と「原価」は会計用語では全く同じ意味で使われていますが一般的には区別されて使われるややこしい関係の言葉です。
それぞれの指すものをしっかりと理解し誤解のないように使い分けてください。