「突拍子もない」について
「突」という漢字に「拍子」という熟語が結び付いた「突拍子もない」は、「とっぴょうしもない」と読みます。
会話の中で度々登場する事がある、割りと馴染みのある言葉でしょう。
「突拍子もない」の意味とは
「突拍子もない」の意味は「とんでもなく調子外れなこと」です。
しかし、これでは少々分かりにくいのでもう少し簡単に説明しましょう。
「突拍子もない」は「思いがけない行動や考え方」「的はずれな意見」「あまりにも常識的ではない、一般的ではないぶっ飛んだ行動や意見」などを表現する言葉です。
語源は、これまでのリズムを大きく変える雅楽の演奏方法のひとつである「突拍子」から来ているという説、平安時代に流行した今様歌の音を外した歌い方の「突拍子」から来ているという説があります。
「突拍子もない」の言葉の使い方
「突拍子もない」でひとつの言葉のように思えますが、実際は「突拍子」「も」「ない」に分解する事が可能です。
「突拍子」は名詞or形容動詞「も」は助詞であり「ない」が補助形容詞となります。
「ない」は打ち消しの助動詞や「無い」という形容詞として使われますが「突拍子もない」はどちらにもあてはまりません。
「突拍子もない」の「ない」は「突拍子」を打ち消す言葉でも「突拍子も無い」ではなく強調の意味として使われているのです。
「突拍子もない」を使った例文
「突拍子もない」は、日常生活の様々な場面で使用可能な言葉です。
使い方は多数あるので、例文と一緒に解釈の仕方を見ていきましょう。
「突拍子もない」の例文1
「先日旦那さんを亡くし、悲しみにくれる女性に、叔母は突拍子もなく再婚の話をもちかけた」
この例文の「突拍子もなく」は「信じられない」「耳を疑う」など人として常識から外れているという様な意味です。
上記の叔母の言葉は、夫を亡くして日も浅い女性に対してかける言葉としては常識的ではありません。
女性も含めてまわりにいた人は、ギョッとしたことでしょう。
こうした周囲を驚かせるような常識のない発言や行動に対して「突拍子もない」を用いる事があるのです。
「突拍子もない」の例文2
「どんなに突拍子もない意見でも構わない、どんどん発言をして欲しい」
この例文の「突拍子もない」とは常識的、現実的ではなかったり、一見すると荒唐無稽に見える様な意見ということです。
つまり極端な話、どんな意見でも良いから発言をして欲しいという意図が読み取れます。
突拍子もないというと、マイナスなニュアンスに考えられがちですが、必ずしもそうではありません。
常識にとらわれない、人が思い付かない様な意見や考え、行動を表すケースもあるのです。
「突拍子もない」の例文3
「子供はいつも突拍子もない行動をして大人を驚かせる」
子供というのは、いつも大人の常識や想像をはるかに超える行動をするものです。
ですから「突拍子もない」は、良くも悪くもまわりを驚かせる、思いがけない行動や発言に対しても使用することが出来ます。
「突拍子もない」は、常識がないといった意味もありますが常識を超える、覆すといった意味もあると覚えておきましょう。
「突拍子もない」の英語と解釈
「突拍子もない」を英語で表現すると“crazy”や“incredible” “bizarre”となるケースが多いものです。
“crazy”の和訳は「熱狂的な」「狂った」等となりますが、常識から外れている、ぶっとんでいるといったニュアンスが含まれています。
そのため、場合によっては「突拍子もない」を“crazy”で表現する事も少なくありません。
また「突拍子もない」に「変わった、奇妙」などのニュアンスが含まれる場合は“bizarre”を使ったり「信じられない」というニュアンスなら“incredible”を使う事もあります。
このように「突拍子もない」がどんな場面でどんなニュアンスで使用されるかによって、適した英語は違うということです。
「突拍子もない」の類語や類義表現
「突拍子もない」と同じような意味のある言葉を紹介していきましょう。
ただし、場面によって最も適した類語や類義表現は異なることを忘れないでください。
「思いがけない」
「思いがけない」は、多くの場面で「突拍子もない」の言い換えとして使用出来る言葉です。
「思いがけない」は「予想もしていない」「意外な」「考えたこともない」という意味合いが強くなります。
「常識外れ」
「突拍子もない」は、「常識がない」考えや行動に対しても「常識を超えた」考えや行動に対しても使われることがあります。
そのため「常識外れ」という言葉が「突拍子もない」の類語や類義表現として適していると言えるでしょう。