わびしさを伝える表現は、いくつかあります。
この記事では、「静謐」と「静寂」の違いを分かりやすく説明していきます。
色々な熟語を知って、言葉の奥深さをかみしめていきましょう。
「静謐」とは?
静謐(せいひつ)とは、平和で穏やかなこと。
リラックスしていて、非常に落ち着いている様子をあらわしています。
静謐は「静か」と「謐らか」が組み合わさった熟語です。
どちらも言葉の印象から感じ取れる通り、安らかでひっそりとした意味があります。
ちなみに日常ではあまり目にしない「謐」は訓読みすると「しずか」と読みます。
その名の通り、物音が聴こえないくらい静まり返った様子をあらわす言葉です。
使い方としては「争いがおさまり、村には静謐な時間が戻ってきた」や「静謐な佇まいのマンションだった」そして「ラグジュアリーなラウンジには、静謐な空気が漂っている」などがあります。
身も心も解放されるひとときが静謐です。
「静寂」とは?
静寂(せいじゃく)とは、物音がしないくらい静かなこと。
人の気配が感じられないくらい、シーンとしている状態です。
静寂は「静か」と「寂しい」がくっついた言葉です。
「寂しい」は心の不満足さを伝える言葉ですが同時に「ひっそりしている」という訳もあります。
コトリとも音がしないような、張りつめた空気をあらわすのが静寂。
物音がほとんどしない、静まり返った様子を伝えています。
静寂を使った文には「息をのむパフォーマンスに、会場は静寂に包まれた」や「静寂を打ち破るように、けたたましくサイレンが鳴った」などがあります。
大きな音が聴こえない、ひっそりした静けさが「静寂」です。
「静謐」と「静寂」の違い
どちらも静かな空間をあらわす表現です。
「静謐」と「静寂」の違いを、分かりやすく解説します。
・平和の意味もある「静謐」
「静謐」と「静寂」はどちらも「静かなありさま」を伝える言葉です。
そのため、どちらも同じように使い回すことができます。
一方で「静謐」には「静寂」には無い意味もあります。
静謐には「揉め事が起こらず、世の中が落ちついている」という訳があるからです。
平穏無事そして天下泰平の意味もあるのが「静謐」。
天下泰平とは、心配ごとのない元気な世の中のこと。
人々が落ちついていて明るい時間が流れているという、非常にポジティブな言葉です。
物音がしないという意味の「静寂」に比べて、とても尺のある言葉です。
平和と静けさが静謐。
静けさのみが静寂です。
まとめ
「静謐」と「静寂」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらもシーンとして、静まり返っていること。
大きな音が聞こえず、ひっそりして静かな様子を伝えています。
これに加えて「静謐」は世の中が乱れず、のんびりしているという意味もあります。
似たように見える表現ですが、言葉の含みは少しだけ異なっています。
正しい間違いを知って、文章力に磨きをかけていきましょう。