何かができるようになることを意味する言葉として「許可」と「容認」があります。
どちらも行政関係では頻繁に使われる言葉ですが具体的にはどこが違うのでしょうか。
今回は、「許可」と「容認」の違いについて解説します。
「許可」とは?
「許可」とは「制限されていることに対して許しを与え制限を解除すること」という意味で使われる言葉です。
一般的に「許可」という言葉は「そうする権利を認められること」という意味で使われていますが、「許可」には大前提として「禁止」が存在します。
禁止されている行為に対して特別に行動を許すのが「許可」であり、禁止のないところに「許可」はありません。
通常は禁止だけではなく部分的な禁止を意味する「制限」であることが多いですが、何らかの禁止や制限が設定されている状況にあって特別に禁止や制限が解除されることを指してて「許可」と表現します。
禁止や制限を設けている主体は行政や地域の管理者いわゆる「権力」です。
対象を支配し自由に出来る力を持つ権力でなければ禁止や制限を設けることはできません。
必然的に「許可」についても同じく「権力」が主体となります。
「許可」の使い方
・公演で祭りを行う許可を取る。
・コンビニエンスストアの営業が許可された。
・写真の使用許可について事務所に問い合わせる。
・入室を許可されたもの以外は控室で待つよう指示された。
「容認」とは?
「容認」とは「そうであると認めること」という意味で使われる言葉です。
「容認」には「ありようを受け入れる」という意味合いがあります。
「目の前にある事実に積極的には関わらないがそうであると認めて手出しをしない」のが「容認」の意味合いであり「積極的に関与しないが否定もしない」状況を指しています 「容認」とよく似た表現に「黙認」があります。
「容認」が「見て見ぬふりで黙って認める」ことを表すのに対し「容認」は「聞かれれば答えるがこちらからなにか言い出すことはない」というある程度公に認めている状況を指しています。
「容認」の使い方
・廃棄物処理場の建設を容認する。
・この学校では茶髪が容認されている。
・政府は抗議デモを容認する考えだ。
・勝手なふるまいを容認するからつけあがるのだ。
「許可」と「容認」の違い
「許可」と「容認」の違いは「積極性と責任」です。
「許可」は相手に対して積極的に許し認める行為を指します。
「許可」を求めた側だけでなく与えた側にも判断と結果に対する責任が発生するため強く関わっていることを表す際に使われる言葉です。
「容認」は特に止めることはしない消極的な許可を指す言葉です。
「やめろと言われていないのだからやってもいい」というのが「容認」であり行動を妨げるものはありませんが「許可」のように強い関わりに伴う責任も発生しません。
何かあっても責任を逃れられる程度の関係性で行動を暗黙に認めるのが「容認」です。
まとめ
「許可」と「容認」は関わりの深さと責任によって区別される言葉です。
言質をとったとらないでもめることが多い行政や政治の世界では巧みに使い分けられていて、どちらの言葉を使うのかによって政治的な影響力や責任が大きく変わるケースもあります。
それぞれの言葉が含むニュアンスを理解して正しく使ってください。