ニュースや新聞で「下級裁判所」や「最高裁判所」について見聞きする機会は多いでしょう。
いずれも裁判所ではあるのですが、その役割や機能は大きく異なります。
社会人となると裁判を経験したり、知識が必要になったりするケースは多いので、両者の違いは知っておくのがおすすめです。
この記事では、「下級裁判所」と「最高裁判所」の違いを分かりやすく説明していきます。
「下級裁判所」とは?
「最高裁判所」以下に位置づけられる、全ての裁判所を現す言葉が「下級裁判所」です。
具体的には高等裁判所や地方裁判所、家庭裁判所の他に簡易裁判所があります。
「下級裁判所」はこれらの裁判所の総称です。
このため、世の中に現実的に「東京下級裁判所」のような建物が実在するわけではありません。
第一審と控訴審を担当するのが、これらの裁判所の主な役割です。
なお、高等裁判所は上告審(第三審)を担当することがあります。
「最高裁判所」とは?
日本の司法権における最高機関が、「最高裁判所」です。
裁判手続きのうち、最後となる上告審を担当します。
裁判での争いがもつれた時に辿り着く最後の司法機関で、ここで下された最終判断が「下級裁判所」の判決に優先されるのが特徴です。
極めて強い権限を持つため、「憲法の番人」と呼ばれることも珍しくありません。
「下級裁判所」と「最高裁判所」の違い
「下級裁判所」と「最高裁判所」の違いを、分かりやすく解説します。
まず「下級裁判所」はいずれも第一審となりえるのが特徴です。
簡易裁判所はもちろん、高等裁判所からスタートする裁判もあります。
これに対して「最高裁判所」が第一審になることはありません。
また、控訴も行われず、「最高裁判所」には上告あるいは特別抗告が行われます。
次に原則として、「下級裁判所」は事実審ですが、「最高裁判所」は法律審です。
事実審は事実認定と法律の問題の両方を扱います。
法律審は事実認定はせず、律判断のみを行うのが原則です。
他には、判例の拘束力があります。
基本的に「最高裁判所」の判決は、「下級裁判所」の判断を拘束するのです。
つまり、地方裁判所や高等裁判所では、「最高裁判所」の判例に反するような判断は原則としてできません。
ただ、「最高裁判所」は過去、自身が出した判決と異なる判決を出すこともできます。
設置されている建物の数も違っており、「下級裁判所」はそれぞれが複数あるのに対して、「最高裁判所」は東京にある一つだけです。
まとめ
「下級裁判所」と「最高裁判所」はそれぞれに役割があり、利用の仕方が異なっています。
色々な規定がありますが、終審を行うのが「最高裁判所」と覚えておくと良いでしょう。
これに対して裁判の第一審は基本的に「下級裁判所」で行います。
なお、裁判制度は原則の他に例外規定が多いので、注意が欠かせません。
民事と刑事でも扱いがことなります。
この機会に裁判制度について調べておくと、万が一の時に役立つかもしれません。