この記事では、「断然」と「俄然」の違いを分かりやすく説明していきます。
「断然」とは?
「断然」は「だんぜん」と読みます。
「断」は音読みで「ダン」、訓読みで「たつ」「ことわる」と読みます。
「断」の字には、「思いきって」「きっと」「かならず」という意味があります。
「然」は音読みで「ゼン」「ネン」、訓読みで「しかり」「しかし」「しかも」「もえる」という意味があります。
「然」の字には、「しかり」「そのとおり」といった意味を持っています。
「断」と「然」の2文字で構成される「断然」には、次の3つの意味があります。
1つは「きっぱりと心を決めるさま」という意味です。
「私は断然反対だ」というような使い方をします。
もう1つは「(あとに打消しの語を伴って)決して」「絶対に」という意味です。
これは「断然認めない」といった使い方が一般的です。
そして最後は、「ずばぬけて」「なみはずれて」という意味です。
「断然彼がトップだ」というような使い方です。
「俄然」とは?
「俄然」は「がぜん」と読みます。
「俄」は音読みで「ガ」と読み、訓読みでは「にわか」と読みます。
「俄」という字には「物事が急に起こるさま」「突然」という意味を持っています。
「然」は前述したとおりの読み方で、意味も前述したとおり「しかり」「そのとおり」です。
「俄」と「然」の2文字で構成された「俄然」には、2つ意味があります。
1つは副詞として活用する場合で、「だしぬけに」「急に」「突然に」という意味になります。
「俄然やる気が湧いてきた」という使い方をします。
そしてもう1つは形容動詞として活用する場合で、「にわかなさま」「だしぬけなさま」「突然なさま」という意味があります。
「俄然として周りの風景は変わった」という使い方になります。
「断然」と「俄然」の違い
「断然」と「俄然」それぞれの用語の違いはお分かりいただけたでしょうか。
「断然」と「俄然」はとても似た言葉のように思ってしまいますが、実は意味がまったく異なります。
「断然」とは「きっぱりと心を決めるさま」で、強調を表す言葉です。
例えば「断然楽しみになってきた」とは「とても楽しみになってきた」ということです。
それに対して「俄然」とは「急に」という意味です。
前述した例で説明すると「俄然楽しみになってきた」とは「急に楽しみになってきた」という意味になります。
「断然」と「俄然」はまったく別の意味になります。
「断然」の例文
・これは彼の小説の中で断然おもしろい。
・これはその2つの中で断然良い方だ。
・彼女はクラスの中で、断然歌がいちばんうまかった。
「俄然」の例文
・俄然強気になっている。
・梅雨が明けると俄然暑くなった。
・俄然面白くなった。
まとめ
以上が「断然」と「俄然」の違いになります。
「断然」とは強調する表現。
「心を決めるさま」という意味になります。
「俄然」は「急に」という意味になり、「断然」とはまったく別の意味の言葉だということがわかりました。