この記事では、「残す」と「遺す」の違いを分かりやすく説明していきます。
「残す」とは?
「残す」にはいくつもの意味があるのですが、主なものは6つです。
1つめは、他に移さないでその場所にいさせるです。
学校では、成績が悪い生徒が放課後になかなか帰らせてもらえず、みんなが帰ってからも勉強させられることがあります。
これを「生徒を残す」といいます。
2つめは、もとのままにしておくです。
20年前と現在とで、顔があまり変わらない人がいます。
それを「面影を残す」といいます。
20年前とほぼ同じ状態が今にもあります。
3つめは、全体のうちの一部は、使わない、消費しないことです。
料理をたくさん作りすぎてしまい、全部は食べることができませんでした。
全体の料理のうち、食べられなかった部分が一部あります。
これを「料理を残す」といいます。
4つめは、消えることなくそのままにするです。
「証拠を残す」のような使い方をします。
この場合は、何かをした印を消さないでそのままにすることを意味しています。
5つめは、後の世に伝える、死後にもそのままの状態にするです。
「名を残す」のような使い方をします。
この場合、ある人が死んだ後もその人の名が伝えられるという意味になります。
6つめは、ためこむです。
集めてとっておくことをいいます。
「残す」の使い方
いくつもの意味があり、さまざまな事柄に使用されています。
どの意味も、そのままにしておく、使わないおくといったことを指しています。
「遺す」とは?
「遺す」の主な意味は2つです。
ひとつは、死後にもそのままの状態を保つ、後の世に伝えるという意味です。
生きている間に金銭をためこんでいた人は、死後に自分の子どもなどのためにそのままの状態にしておくことができます。
これを「金銭を遺す」といいます。
死後に、生前にかかれたものが見つかることがあります。
「遺言書を遺す」などといったりします。
もう一つの意味は、後にとどめるです。
「後遺症」などの「遺す」を意味しています。
「遺す」の使い方
後の世に伝える、死後にもそのままにするといった意味で使用をします。
死後のことについて使われることが多いです。
「残す」と「遺す」の違い
「残す」は「遺す」とも書くことができ、2つの言葉の意味はほぼ同じです。
特に死後にとどめることには「遺す」の漢字が使われます。
「遺」の漢字は常用漢字表にはありますが、音訓表にはないものです。
この漢字を使用しても間違いではありません。
「残す」の例文
・『食べ切れなくて料理を残す』
・『台風の爪痕を残す』
・『手紙を残す』
・『捨てる服と残す服を決める』
「遺す」の例文
・『子どものためにお金を残す』
・『遺言書を遺す』
・『さまざまな功績を遺す』
・『形見を遺す』
まとめ
2つの言葉の意味は同じで、どちらの漢字も使用することができます。
特に死んだ後にのこすことは「遺」が使用されます。