この記事では、余り知られていない「鬼簿」の意味を分かりやすく説明していきます。
「鬼簿」とは?意味
「鬼簿」の読みは「きぼ」で、意味は「死者の名前を記した帳面、すなわち過去帳」を意味する言葉です。
この「鬼簿ー過去帳」は、もう少し詳しく説明すると、「寺院で檀家?や信徒の死者の俗名・法名・死亡年月日・年齢などを記入して、保存される帳面」です。
近年では、檀家制度が薄れており、自宅の仏壇に亡くなった家族の分を保管されているケースが増えています。
「鬼簿」の概要
「鬼簿」の「鬼」と言えば、節分の豆まきで追い払う、牙と角が生えた恐ろし気な、いわゆる「鬼」を思い浮かべるでしょうが、実は「鬼」には、いくつかの意味があります。
その一つは上記のいわゆる「鬼」のイメージと同様の「怪物や化け物」ですが、その他に「死者の魂」 や「人間技とは思えない」さまを表現する意味を持っています。
「鬼簿」においての「鬼」は、上記の中で「死者や死者の魂」と言う意味で使われているのです。
また「鬼簿」の「簿」は、「帳簿」などと同様に、「ものを書き込むために紙を綴じたもの、すなわち帳面」を意味します。
従って「鬼簿」は「亡くなった人の記録の帳面」となり、具体的には前項で記した意味となるのです。
「鬼簿」と言う言葉は、聞きなれない人が多いかも知れませんが、「鬼籍」や「鬼籍に入る」と言う言葉を聞かれた方は少なくないはずです。
「鬼簿」は「鬼籍」と、ほぼ同じで「鬼籍に入る」とは「亡くなって鬼籍に名前が書きこまれること」を意味する言葉です。
ちなみに、中国では人が亡くなると「鬼」になると表現されていて、そこでの「鬼」は「死者の魂」の意味で、そもそもこの意味のみを持つ言葉でした。
日本にも当初はこの意味で伝わって来ました。
しかし「死」は恐ろしいことであり、そこに仏教の影響が重なって、いわゆる節分の豆まきで出て来る、恐ろしい「鬼」のイメージが平安時代に定着したのです。
その仏教の影響を受けた「鬼」とは、現世で悪行を重ねていると、死後には地獄に落ちてしまい、地獄で「鬼」に釜ゆでにされてしまうと言う話から来ているものです。
「鬼簿」の言葉の使い方や使われ方
「鬼簿」の言葉は、以下の例の様に使われます。
・『母の13回忌が今年だったか、来年だったか分からなくなり、仏壇の鬼簿で確認しました』
・『私の祖母は98歳で鬼簿に入りました。私にとっては寂しい事ですが、充分に天寿を全うできたことが、救いと言えます』
「鬼簿」の類語や言い換え
「鬼簿」の類語としては、「過去帳」や「鬼籍」や「鬼籍簿」や「点鬼簿」や「冥帳」や「霊簿」などが挙げられます。
まとめ
「鬼簿」の読みは「きぼ」で、「寺院で檀家?や信徒の死者の俗名・法名・死亡年月日・年齢などを記入して、保存される帳面」を意味する言葉です。
一般的には「過去帳」の呼び名が使われている事が、多いと言えます。
また近年では、檀家制度が薄れており、自宅の仏壇に亡くなった家族の「鬼簿=過去帳」を保管されているケースが増えています。