じっくりとではなく、ちらっと何かを見るときがあります。
時間や余裕がなかったり、対象に時間をかけてみる価値がないと思われたりするときにみられる行動です。
その様子を表現する言葉として思いつくのが「一目」と「一瞥」ではないでしょうか。
しかし、この二つの言葉にはニュアンスや使い分けに違いがあります。
この記事では、「一目」と「一瞥」の違いを分かりやすく説明していきます。
「一目」とは?
「ひとめ」、もしくは「いちもく」と読みます。
ただちょっと見ること、ひと目見ること、景色などを見渡すことを意味します。
一見、一望のことです。
また「一目置く」の形で、自分より優れているものを認める表現として使われる場合もあります。
おもわず人々がひと目見てしまう、存在を意識してしまうイメージです。
「一目」の使い方
「一目」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『優れた将軍は、戦場の様子を「一目」しただけで、戦局を把握できるものです』
・『私は山の上から町を「一目」して、すぐに様子がおかしいことに気がつきました』
・『二人の実力差は「一目」して分かります』
・『私は「一目」でそのソファが気に入りました』
・『彼は大人しい性格ですが、勉強ができるので、他の生徒たちに「一目」置かれています』
「一瞥」とは?
「いちべつ」と読みます。
ちらっと見ること、ちょっとだけ見やること、流し目に見ることを言います。
顔や体を向けず、目玉だけ動かして対象を見るイメージです。
ネガティブなニュアンスを持ちます。
「一瞥」の使い方
「一瞥」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『「一瞥」しただけで、偽物だと分かりました』
・『彼は「一瞥」もくれずに、行ってしまいました』
・『その選手はうんざりした様子で、記者団に「一瞥」を投げて、去っていきました』
・『試合中、彼は相手を「一瞥」しただけでした』
・『その筆跡を「一瞥」しただけで、彼女のものだと分かりました』
「一目」と「一瞥」の違い
それでは「一目」と「一瞥」の違いを、改めて整理してみましょう。
いずれもきちんと見ず「ちらっと見る、ちょっと見る」という意味は同じです。
しかし「一目」が、「ちらっと見る」また「一目置く」のように優れているものに対して使う場合があるのに比べて、「一瞥」は、「見やる、流し目に見る」という、より侮蔑的なニュアンスを持つという違いがあります。
「一瞥」は、ほとんど相手にせず、無視に近い様子を表しており、ネガティブな意味が強くあります。
使い分けるときは、「少し対象を見たときのニュアンス」に注意を払いましょう。
まとめ
この記事では「一目」と「一瞥」の違いをみてきました。
どちらも「少し何かを見るとき」に使われる大切な言葉ですが、「一目」は「ただ少し見る」だけの意味をもち、「一瞥」は「ネガティブで軽蔑的なニュアンスがある」という違いがあります。
言葉のもつニュアンスの違いを見落とさず、適切に使い分けるようにしてください。