「払暁」について
「払暁」は、通常「ふつぎょう」と読みますが、小説などでは「払暁」と書いて「あけがた」と読ませる例も少なくありません。
数ある時間帯を表す言葉のひとつとなります。
「払暁」の意味とは
時間帯を数字ではなく、空の明るさなどから表現する日本語がいくつか存在します。
そのうちのひとつである「払暁」は、夜明けの二時間前程度の時間帯を指すとされ、まだほんの少し暗さの残る夜明け前の時間、明け方の事です。
「払暁」は「暁を払う」と書きますが、よく知られる「暁」とは「払暁」よりも夜深い時間帯を指す言葉となります。
つまり、時間の経過としては暁の次が払暁となり、暁よりも段々と空が白み出したという事が文字からも伝わるでしょう。
「払暁」の言葉の使い方
払暁は、日の時間帯を表す言葉であり名詞となります。
ですから、使い方は難しいものではありません。
空がまだ完璧に明けてはいない、暗さの残る明け方を表す際に使用しましょう。
もう少し細かくいうと、暁と早暁(そうぎょう)の間が「払暁」となります。
季節によっても異なるもののおおよそ午前4時頃を指して使用するのが一般的でしょう。
「払暁」を使った例文
「払暁」のような1日の時間帯を表す言葉は、曖昧な使われ方をする事も少なくありません。
とくに「払暁」は、どちらかというと使用頻度の少ない言葉のひとつです。
ですから、例文を参考にしながら使い方や解釈の仕方を紹介していきましょう。
「払暁」の例文1
「すでに払暁といって良い時間帯だが、今日は小雨が降り外は暗かった」
「払暁」とは、空が白みはじめている時間帯を指すのであって、空の様子や天気を表す言葉ではありません。
この例文のように、たとえ空が暗く、太陽が隠れているような場合でも時間的に明け方付近ならば「払暁」を使用しても問題はないのです。
「払暁」の例文2
「明日仕事が休みなのをいい事に、旧友と払暁の頃まで飲み明かした」
上記の例文からは、朝方近く、明け方頃までお酒を飲んでいたという事が分かりますがハッキリとした時間帯は分かりません。
「払暁」は、ぴたりと何時を指すという訳でも、何時から何時までの間を指すと明確に決まっている訳でもないからです。
ただ、明け方頃を指すという事だけはハッキリとしているので「払暁」を使用する際には、その点に注意をしましょう。
「払暁」の例文3
「敵軍に払暁攻撃を仕掛けられ、我が軍は撤退に追い込まれた」
早朝、陽が昇りきる前の明け方の攻撃のことを例文のように「払暁攻撃」と言うことがあります。
まだ多くの人々が眠っている時間帯である事から、奇襲攻撃の一種だと言えるでしょう。
実際に戦争では、こうした「払暁攻撃」が各地で行われてきたのです。
夜襲の場合は、標的が定まらず攻撃も難しい為「払暁攻撃」は現実的だったと言えるでしょう。
「払暁」の英語と解釈
日本語は、表現が豊富で奥深い言語のひとつです。
そのため夜明け前後の時間帯を表す表現も豊富にあります。
「払暁」を英語で表すのなら“dawn”、“daybreak”を使用するのが一般的でしょう。
ただし、どちらも「払暁」を限定して表す英語ではありません。
“dawn”という英語ひとつで「払暁」の他にも「暁」や「明け方」「あけぼの」「夜明け」など幅広い時間帯を表します。
「払暁」の類語や類義表現
払暁の類語や類義表現は、決して少なくありません。
そこで、一般的な類語や類義表現を紹介してみましょう。
「明け方」
「明け方」は「払暁」とイコールだと言っても間違いありません。
「払暁」は明け方の時間帯を更に細かく分けた際に使用する言葉になります。
気象庁では明け方を午前3時から6時頃までとしていますが、「払暁」はその中の午前4時前後を表す事が多いでしょう。
「夜明け」
「夜明け」は、そのまま「夜が明ける頃」のことです。
上記で紹介した「明け方」と「夜明け」は、どちらも同じ時間帯を表現したい時に用いることが出来ます。
ですから「払暁」は、「夜明け」をより限定的に詳細に表現したい時に用いる言葉だと言えます。
そのため、「夜明け」を「払暁」の類語や類義表現として扱っても問題ないでしょう。