旅館のレビューなどで見かける表現に「いたれりつくせり」というものがありますが、具体的にはどんな意味なのでしょうか。
今回は、「いたれりつくせり」の意味と類語について解説します。
「いたれりつくせり」とは?意味
「いたれりつくせり」とは、「隅々まで配慮が行き届いて非の打ち所がないこと」を意味する言葉です。
「いたれりつくせり」の概要
「いたれりつくせり」という表現は一般的には「手厚くもてなすこと」を表す言葉です。
あれやこれやといろいろ希望することのすべてを聞き届け十分満足の行く対応をしてくれるような完璧な態度を表す際に使われる言葉で、もてなしの態度としては最上級の高好評価を意味する時のみに使われる表現です。
どんなことに対しても不満がなく完璧な様子を指す言葉なので少しでも不満があったり手落ちがあったりする場合は使われません。
「いたれりつくせり」を漢字で表すと「至れり尽くせり」となります。
「至る」と「尽くす」の二語からなる言葉ですが「至る」は「配慮が隅々まで行き渡る」ことを意味し、「尽くす」は「できるかぎり手をつくしてもてなす」ことを意味しています。
「いたれりつくせり」は古代中国の思想家「荘子」が記した書物「斉物論」に由来する言葉です。
万物は存在などしておらず無の境地こそが最高の思想である、というのが斉物論で語られる荘子のしそうです。
このような無に至る境地ことを荘子は「これ以上なくすべてを尽くして到達するもの」という意味でを「至れり尽くせり」と表現しています。
本来の意味は「これ以上ない考えられる中で最高の様子」という意味ですが、現在ではもう少し穏やかな「十分満ち足りているさま」というくらいの意味合いで使われています。
「いたれりつくせり」の言葉の使い方や使われ方
・『あの旅館はいたれりつくせりでサービスが行き届いていた』
・『いたれりつくせりであれこれ世話を焼いてくれるので何もせずのんびりできた』
・『おいしい食事に温かい風呂、清潔な布団に快適な寝間着といたれりつくせりのもてなしだった』
・『こちらがなにか言う前にサービスしてくれるいたれりつくせりのホテル』
「いたれりつくせり」の類語や言いかえ
・下にも置かない
「とても丁寧に扱ってもてなすさま」を意味する言葉です。
下座に置くことなく常に上座に置いて丁寧にもてなすことを意味する言葉で「いたれりつくせり」と同様にこれ以上ないほどの完璧な様子を表します。
・気が利く
「こちらが口にするより先に気をつかうほど察しがいいこと」を意味する言葉です。
相手の気持ちを察して先回りして対応したり配慮したりする様子を指す表現で「いたれりつくせり」と同じく全く気を使う必要がないほど充実している様子を表します。
・かゆいところに手が届く
「細かいところにも気を配りちょうどいい対応をする様子」を意味する言葉です。
不満に対しピッタリの対応をするような手抜かりのなさを示します。
「いたれりつくせり」が全方向の充実度を指すのに対し、こちらは気がついたところに即座に対応するような抜け目のなさを意味する表現です。
まとめ
「いたれりつくせり」は日常会話でも使われる表現ですがきちんとした意味を理解せずに使っている人も少なくありません。
この機会に正確な意味を知っておきましょう。