この記事では、「おいてきぼり」と「おいてけぼり」の違いを分かりやすく説明していきます。
「おいてきぼり」とは?
「おいてきぼり」とは、他の者を残したまま、その場を去ってしまうこと、置き去りにすることを指す言葉です。
後述する「おいてけぼり」と同義語です。
「おいてけぼり」とは?
「おいてけぼり」とは、他の者を残したまま、その場を去ってしまうこと、置き去りにすることを指す言葉です。
この「おいてけぼり」に関しては、本所七不思議と呼ばれる奇談・怪談の1つとして逸話が残っています。
その逸話は、江戸時代に堀で釣りをして帰ろうとした人に、水中から「置いてけ、置いてけ」と呼ぶ声が、魚を返すまで繰り返して聞こえて来たと言うのです。
そこからこの掘りが「置いてけ堀」と呼ばれる様になり、これが「おいてけぼり」の語源とも言われています。
「おいてきぼり」と「おいてけぼり」の違い
1,2項で記載した様に、「おいてきぼり」と「おいてけぼり」は同義語として使用されています。
では、「き」と「け」の一字違いですが、この両方の言葉が使われている経緯や背景について考えてみたいと思います。
先に記載した語源から、当初は「おいてけぼり」であったものが、後に生まれた「おいてきぼり」を使う人が増え、むしろ次第にこれを「おいてきぼり」と表現する人が増え、現在では「おいてきぼり」を使う人の方が多いと言われています。
次にこの「おいてきぼり」がなぜ生まれ、広まったのかについて考えます。
少しかたぐるしい話になりますが、日本語の文法においては、「複合語の中に動詞を使用する時には、連用形が基本である」というルール・傾向が関係しています。
例えば「触り心地」や「飲み放題」「触り心地」と言った複合語において、「触り」「飲み」は「触る」「飲む」の動詞の連用形が使われています。
一方で、「おいてけぼり」は「おいてけ」と「ほり」の複合語で、「おいてけ」は「おいて行け」がつまってできた言葉で、「おいて行け」は命令形です。
この連用形は「おいて行き」でこれを短縮すると「おいてき」となるのです。
こうして日本語の一般的なルールに沿って、「おいてけ」が「おいてき」へと変化したと言え、これはある意味で素直な変化・変遷であったとも言えるでしょう。
こうして2つの言葉が現在まで残り、使用し続けられているのです。
まとめ
「おいてきぼり」も「おいてけぼり」も全くの同義語で、他の者を残したまま、その場を去ってしまうこと、置き去りにすることを指す言葉です。
語源とされている「置いてけ掘」から、江戸時代には「おいてけぼり」が元々の言葉で主流でした。
しかし日本語の文法である、複合語に含まれる動詞は連用形が一般的と言う事から「おいてきぼり」と言う表現に変化し、いつしかこちらを使う人の方が増える状況となったのです。
現在でも両方の言葉は一般的に使用されており、「おいてきぼり」を使う人の方が少し多いと言う状況です。