この記事では、「お屠蘇」と「お神酒」の違いを分かりやすく説明していきます。
「お屠蘇」とは?
「お屠蘇」には2つの意味があります。
一つは、屠蘇酸の略です。
屠蘇酸とは、元旦に服用をする漢方薬の一種です。
漢方薬とは、漢方医学に基づく考えから作られた薬で、いくつかの生薬を組み合わせています。
生薬とは、何らかの働きが期待できる、植物や動物などのことです。
屠蘇酸に使用される生薬は、『本草綱目』によると赤朮・桂心・防風・??・大黄・鳥頭・赤小豆となっています。
現在は、山椒・細辛・防風・肉桂・乾姜・白朮・桔梗が使用されることが一般的です。
山椒は普段料理に使用する山椒のことです。
肉桂はシナモン、乾姜はショウガを指しています。
このように、現在食事に普通に使っているものが生薬に含まれています。
屠蘇酸の大量摂取は危険です。
現在市販されているものは、1回量2g程度が一般的です。
もう一つの意味は、屠蘇酸をみりんや酒に浸したものです。
これは、中国の三国時代に名医華佗が、一年の災難厄除けのために、山椒・桔梗・大黄など十数種類の生薬を酒に浸して飲んだのがはじまりだとされています。
生薬を十分に抽出するために、みりんや酒などに屠蘇酸を一晩くらい浸しておきます。
みりんには、本みりんとみりん風調味料があります。
屠蘇酸を浸すのに使うのは本みりんです。
「お屠蘇」の使い方
年の初めに服用をする屠蘇酸や、それを浸したみりんや酒のことを指して使用する言葉です。
年末年始に使う機会が多くなります。
「お神酒」とは?
神に供える酒です。
日本の神道では、神前に供えものをします。
その中に酒が含まれており、神に供えるものを「神酒」と呼んでいます。
「お」は丁寧にする語です。
酒には、ビール、日本酒、ウイスキー、ワインなどさまざまな種類がありますが、一般的には日本酒が用いられます。
日本酒には、アルコールを添加していないものと、添加していないものとがあります。
アルコールを添加していないものには、純米酒や純米吟醸などがあり、アルコールを添加しているものには、本醸造や吟醸などがあります。
「お神酒」として用いられる日本酒の種類は、神社によって異なるようです。
「お神酒」の使い方
日本の神道で神に供える酒のことを指して使用をする言葉です。
「お屠蘇」と「お神酒」の違い
どちらも酒ですが、用途が違います。
前者は年頭に飲むものです。
山椒や肉桂などの生薬を浸しています。
後者は神に供えるものです。
生薬は入っていません。
「お屠蘇」の例文
・『お屠蘇の準備をしなくちゃ』
・『お屠蘇をもらった』
・『あなたはお屠蘇を飲んではいけません』
「お神酒」の例文
・『お神酒を備える』
・『お神酒を戴く』
・『ありがたいお神酒』
まとめ
どちらの言葉も酒を指していますが、どのような種類の酒なのか、どういったことに用いられるのかという点に違いがあります。