この記事では、「なし崩し」の意味を分かりやすく説明していきます。
「なし崩し」とは?意味
「なし崩し」とは、一般的には「既成事実を少しづつ積み重ねて、物事が進むこと」の意味で使われる場合が多い言葉です。
しかしこの言葉は、元々は「借金を少しづつ返済すること」を意味するものでした。
それが借金が少しづつ減少する事から転じて「物事を少しづつ片づけたり、行うこと」を意味する言葉となり、そこからさらに転じて、冒頭の意味として使われることが多くなった言葉なのです。
従って、「なし崩し」は上記の3つの意味を持つ言葉と言えます。
「なし崩し」の概要
前項で記載した「なし崩し」の3つの意味は、いずれも物事が少しづつ収束に向かっていることを表現すると言う共通性を持って、拡大使用されるようになったものです。
従って、「なし崩し」にはどの使い方にしろ、ネガティブな意味合いはありません。
しかし「なし崩し」を「何か悪い状況があるのに、それをうやむやにして突き進むこと」と言ったネガティブな意味合いがある言葉として使われる事が、非常に多いと言えます。
これは本来の意味から外れた誤用です。
例えば、政府が一部に批判のある政策を推し進める際に、野党の政治家がしばしば『政府は反対を押し切ってなし崩し的に進めているのはけしからん!』のように使っているのをテレビニュース等で見聞きしますが、これは明らかに誤った使い方です。
こうした政治家の発言や、それを伝える情報番組のコメンテーターがテレビ番組で誤用する事で、いつしか「なし崩し」は「悪い事をうやむやにして進めること」だと多くの方が誤解するようになった一因だと思われます。
「なし崩し」の言葉の使い方や使われ方
「なし崩し」の言葉は、『事業計画で立案した拡売戦略からは少しそれますが、この方法は意外と有効なので、このままなし崩しに進めて行こう』や『明確な自信はなかったが、なし崩しに進めた結果、意外と上手く行った』や『一時期は混乱してどうなる事かと思ったけれど、なし崩し的に状況が好転しだした。』の様に使われます。
「なし崩し」の類語や言いかえ
「なし崩し」の類語としては、「少しづつ」や「着実に」や「じわじわと」や「一歩づつ」が挙げられます。
まとめ
「なし崩し」とは、元々は「借金を少しづつ返済すること」を意味する言葉でしたが、それが転じて「物事を少しづつ片づけたり、行うこと」を意味する言葉となり、さらに転じて「既成事実を少しづつ積み重ねて、物事が進むこと」を意味する言葉となりました。
現在では、2つ目と3つ目の意味で使われるのが一般的です。
この「なし崩し」の意味の「既成事実を少しづつ積み重ねて、物事が進むこと」において、その「既成事実」は悪い事を指すと、思われている方が少なくありませんが、それは誤りです。
「なし崩し」にはネガティブな意味合いはありません。
誤用が多い言葉ですので、正しく理解して正しく使いたいものです。