製品のレビュー記事等でよく見かける言葉に「スペック」と「ポテンシャル」があります。
どちらも一般的に使われている言葉ですが、具体的にはどのように使い分けられているのでしょうか。
今回は、「スペック」と「ポテンシャル」の違いについて解説します。
「スペック」とは?
「スペック」とは「機械や道具の性能」という意味で使われる言葉です。
「スペック」のもともとの意味は「物の仕様、有り様」です。
機械や道具がどのような基準で作られているのか、どんな機能水準を満たしているのかを指す言葉であり、そこから転じて仕様によって決定される性能を指す言葉として使われています。
一般に「スペック」といえばカタログ上の性能つまり開発者や販売者が約束する性能のことを意味します。
業界基準にそって行われたテストなど客観的な測定によって導かれた性能や寸法など公平な基準によって明らかになるデータのことを「スペック」といいます。
個人の主観や体感など曖昧な基準や評価に基づくものは「スペック」とは呼びません。
パソコンであれば処理速度や保存容量などが、オートバイであれば馬力や最高速度などが「スペック」にあたります。
機械として道具としての性能を指すものなので実使用でのパフォーマンスを保証するものではなく、環境や使い方によって性能が下回ることもあれば粗レ以上の性能を発揮することもあります。
「スペック」の使い方
・スペックの高いパソコンに買い換える。
・発表された新製品の高いスペックに驚きの声が上がった。
・ツールには十分なスペックがあるのに仕事がはかどらないのは本人の責任である。
・化け物のようなスペックを持つスポーツカー。
「ポテンシャル」とは?
「ポテンシャル」とは「将来的に発揮される可能性がある潜在的な力」という意味の言葉です。
成長や進化など何らかの変化があれば表に出る可能性があるが現在のところはまだ発揮されていない実力や能力が「ポテンシャル」の指すものです。
日本語では「潜在能力」「伸びしろ」などの表現が当てはまります。
一般的にはいつか発揮してくれるであろうという期待を込めて使われる表現です。
「ポテンシャルが高い」という場合は成長し十分な能力を発揮してくれることを期待している意味合いが強く、「ポテンシャルが低い」という表現は成長が期待できないという意味で使われることが多く、潜在能力を全て出し尽くして成長仕切った人に対してはあまり用いられません。
「ポテンシャル」の使い方
・ドラフトではポテンシャルが期待される選手を中心に指名した。
・彼のポテンシャルを考えればまだまだこんなものではない。
・ポテンシャルはあるのに練習嫌いのせいでチャンスを潰してしまっている。
・一流シェフが肉の持つポテンシャルを十二分に引き出した最高のステーキを完成させた。
「スペック」と「ポテンシャル」の違い
「スペック」と「ポテンシャル」の違いは、現状においてその能力が発揮できるか否かです。
性能や実力などがすでに現れていてその通りのパフォーマンスが期待できるのが「スペック」です。
「ポテンシャル」は性能や実力が期待されるもののまだ十分には発揮できておらず現状では低いパフォーマンスしか期待できません。
「スペック」は能力の現在の値で、「ポテンシャル」は将来到達する可能性のある能力の限界値を意味します。
まとめ
「スペック」と「ポテンシャル」は言葉の使われる場面が近く、意味的に混同しやすい表現です。
意味する内容は全く違うので誤用しないように注意してください。