この記事では、「ミイラ」と「剥製」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ミイラ」とは?
「ミイラ」とは、人為的もしくは、自然条件などによって乾燥されて、長期間にわたり原型をとどめている死体の事を指します。
「ミイラ」は、古代から人工的に作られてきていて、死者を後世まで残す目的で作られてきました。
死後に体が腐りだす前に急激な乾燥が起こると、細菌の活動が弱まるため、ミイラ化が起きます。
自然環境の中で砂漠からミイラが良く見つかるのは、死亡後に急速な乾燥が起きる事のほか、死因が脱水での死亡となることもあり、死亡したときの水分量がそもそも少ないことが原因と言えるでしょう。
人為的な作成方法は時代により変わっていますが、遺体を洗浄したのち、脳や内臓などをすべて取り出し、腹部に没薬などを詰め、全身をナトロンで覆った後に2か月程度放置し乾燥させます。
その後、化粧などの身なりを整えて防腐処理を施し、場合によって包帯などを巻いて完成です。
古代エジプトでは、ミイラは来世の復活などの信仰のために作られたと考えられています。
日本においても仏教の一部で、僧侶が土の中に穴を掘り、そこで瞑想したまま死亡し、ミイラ化したものを「即身仏」と呼び、修行の中でも最も過酷とされています。
「剥製」とは?
「剥製」とは、研究や展示、観賞を目的とした動物表標本の作製技術の事をいいます。
死亡した動物の皮を剥がし、防腐処理したのちに、内臓のかわりに損充材を詰め、生存時のほぼ近い状態で保存します。
「剥製」は、標本の長期保存を目的としていて、保存状態がよい環境では数百年単位での保存が可能です。
「標本」は、内臓や筋肉、そして神経に至るまで全てを除去します。
そして皮と骨格に防腐処理し、内臓のかわりに脱脂綿やゴムなどの損充材を詰めて外観を整えます。
近年は、劣化防止のために損充材はポリウレタンや発泡スチロールなどの合成樹脂を使う事が多くなっています。
骨格はほとんど取り除かれますが、頭やしっぽ、爪などは筋肉と神経を除去して利用されます。
「ミイラ」と「剥製」の違い
「ミイラ」は、来世の復活や、仏教での修行といったような、宗教上の理由で作成される事が多くなっています。
そして、ミイラは乾燥させて作られますので、どうしても体の一部が崩れてしまっていたり、欠損したりしていて完全なものが少なくなっています。
一方「剥製」は、その標本の展示や鑑賞を目的としているため、生きていたままの姿を忠実に再現するという違いがあります。
まとめ
「ミイラ」は、古代エジプトの頃から王などの地位が高い人たちを死んだままの状態で保存し、後世に復活するという願いが込められて作られていました。
その他の人為的に作られた「ミイラ」も、宗教上の理由で作成されたものが多くなっています。
「剥製」は、そもそも展示、観賞が目的のため、外観をどれだけ本物に近づけるかが重要でとなっています。