「心肺停止」と「死亡」の違いとは?意味や違いを分かりやすく解釈

「心肺停止」と「死亡」の違い違い

この記事では、「心肺停止」「死亡」の違いを分かりやすく説明していきます。

「心肺停止」とは?

「心肺停止」【しんぱいていし】とは、心臓の動きと呼吸が停止し、死が迫っている状況のことです。

「心肺」は心臓と肺のことで、「心肺停止」は名前のとおり心臓と肺の機能が停止している状態を指します。

私たちは、心臓を動かして血管から全身の細胞へ酸素と栄養を送り、回収した二酸化炭素を肺に届け、呼吸をすることで生命を維持することができています。

しかし、病気や外傷などによって心肺の動きが止まると全身に血液が流れなくなり、あらゆる細胞が障害を受けます。

心肺停止が起きてから4~5分経過すると、死に至る可能性が高くなるともいわれます。

つまり「心肺停止」は死が目前に迫っている状態です。

もし、この時点で蘇生処置をおこなえば、心臓の動きと呼吸が復活する可能性はあります。

時間が経過するごとに亡くなる可能性が高くなるので、一刻も早く応急処置を始めることが大切です。

ちなみに法律に基づき、すでに心肺が停止して亡くなっている可能性が高い場合でも、医師が「死亡」を確認するまでは「心肺停止の状態」と表現しなければなりません。


「死亡」とは?

「死亡」【しぼう】は、人が生物学的な死を迎えること、そのなかで医師によって確認された人の死を指します。

生物学的に、死とは心肺機能が停止して呼吸がおこなわれなくなる、循環機能が停止して脈拍が確認できなくなる、脳機能が停止して意識がなくなり瞳孔の反射機能がみられなくなる、といった三つの兆候が全て起こり、二度と機能しなくなることです。

人が亡くなっただけでは「死亡」とは言いません。

「死亡」は法律に基づき、医師がこの三つの兆候を確認することを指します。

また、心肺機能と脳機能は停止しているものの心臓は動いており、人工呼吸器があれば生命が維持できる状態は「脳死」と呼ばれます。

脳死の判定基準を満たし、脳死した人の家族が反対しなければ、臓器移植法により臓器提供が可能となります。

そのほか、長期間にわたって行方不明になり生死が判別できなくなっている人は、民法や戸籍法に基づいて「死亡」とみなされる場合があります。

なお、「死亡」は法律、医学上で用いられる用語であり、普段はお悔やみの意を込め「死去」「逝去」と表現するのが一般的です。


「心肺停止」と「死亡」の違い

「心肺停止」「死亡」の違いを、分かりやすく解説します。

「心肺停止」は心臓の動きと呼吸が停止した状態ですが、死が確認されていない状態です。

「死亡」は、死の兆候である「心肺停止」と瞳孔散大がみられ、医師が診断して死の兆候を確認した状態を指します。

「死亡」は全身の機能が停止し、二度と蘇生することのない状態です。

「心肺停止」は、場合によっては速やかな応急処置によって蘇生することが可能となります。

また生死が分からない行方不明者は、民法や戸籍法によって、戸籍上の「死亡」が認定される場合もあります。

まとめ

「心肺停止」「死亡」は、事故や事件の報道でよく目にする用語です。

「死亡」している可能性が高くても、医師によって死が確認されていない間は「死亡」ではなく「心肺停止の状態」と表現されることを覚えておくと分かりやすいでしょう。

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