「不幸」と「不孝」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「不幸」と「不孝」の違いとは?違い

この記事では、「不幸」「不孝」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「不幸」と「不孝」の違い

どちらも「ふこう」と読みますが、意味は違います。

「不幸」は、幸せではないことを意味しています。

それに対し、「不孝」は、孝行をしていない、孝行でないという意味になります。

「孝」という字には、よく父母につかえることという意味があり、祖先や高齢者に対する尊重の意味もあります。

それを「不」で打ち消しています。

親孝行をしていない場合などに、「おやふこう」といいますが、この場合は「親不孝」と書きます。

親は孝行してもらえず不幸になっているかもしれませんが、「親不幸」と書くと間違いになってしまいます。


「不幸」と「不孝」の使い方の違い

「不幸」は、幸せではない場合に使用するので、範囲が広くなります。

ほんの少しの不幸せに対しても使用しますし、人生全体について使用することもあります。

「不孝」は、孝行していないという場合に使用します。

多くは、親を結びつけて「親不孝」と使います。

「不孝」の方が、範囲の狭い言葉です。

また、「不幸」には、人が亡くなるという意味もありますが、「不孝」には、そのような意味はありません。

また、現代はあまり使われませんが、中世には、父母が子を義絶(勘当)することを「不孝」といっていました。


「不幸」と「不孝」の英語表記の違い

「不幸」は、英語では“unhappy ”や、“misfortune”になります。

不快だという意味の、“dysphoric”も使われます。

「不孝」は、子としてふさわしくないふるまいをするという意味で、“unfilial behavior”といいます。

また、親に従わないという意味で、“disobedience towards one’s parents”ということもあります。

「不幸」の意味

幸せではないことや、そのさまを意味しています。

不幸せなことです。

しあわせにする、かわいがるという意味の「幸」に打ち消す意味の「不」がついて、幸せではないという意味になります。

また、身近な人が亡くなることという意味もあります。

「不幸」の使い方

幸せではない状況のときに使います。

「不幸な生い立ち」や、「不幸な人」などと、使用します。

また、「身内に不幸があった」や、「不幸がありまして」と言った場合には、身内などに死なれたという意味になります。

「不幸」を使った言い回しは数多くあります。

「不幸を招く」とは、不幸せな状況などを自ら呼び寄せてしまうことです。

また、「幸か不幸か」は、起こった出来事が、好いことなのか悪いことなのか判断がつかないことをいいます。

「不幸中の幸い」は、ありがたくない出来事の中でも、いくらか慰めになるようなことがあるという意味になります。

事故など、悪いことがあったけれど、大事には至らなかったときなどに使用します。

「不幸」を使った例文

・『最近、不幸が続くので、パワースポットに旅行することにしました』
・『自動車同士がぶつかる事故を起こしてしまったが、お互いに無傷だったことは、不幸中の幸いだった』
・『いままでの人生を振り返ってみると、不幸の連続だったように思います』
・『人の不幸の上に成り立つ幸せはあるのだろうか』

「不幸」の類語

幸せではないという意味の、「不幸せ」【ふしあわせ】や、運が悪いという意味の「不運」【ふうん】、幸せに恵まれないという意味の「薄幸」【はっこう】などが類語にあたります。

また、亡くなることを表す「永眠」【えいみん】や、「絶命」【ぜつめい】、「死亡」【しぼう】なども類語にあたります。

「不幸」の対義語

「幸福」【こうふく】が対義語にあたります。

「幸福」は、満ち足りていて、不平や不満がなく、楽しいことを表しています。

幸せなことです。

不孝の意味

「ふこう」または「ふきょう」と読み、孝行でないことやそのさまのことです。

子として親を心配させたり悲しませたりすることを意味しています。

大化前代に、国家の秩序を乱すものとして定められた「十悪」【じゅうあく】、または、大宝律・養老律の「八虐」【はちぎゃく】の一つに数えられています。

祖父母および父母に対する告発や呪詛、罵詈などを、行う行為に対する罪名のことです。

また、中世においては、父母が子を勘当することを「不孝」といいました。

不孝を申し渡されると、子どもの行為に親は責任を持たず、遺産相続の権利もなくなります。

不孝の使い方

親に対して、子として孝行が足りずに、迷惑をかけたり、心配をかけているときなどに使用します。

「先立つ不孝」などと、使用します。

殆どの場合、親を付けて「親不孝」と使います。

親子の縁を切ることを表すときには、「素行の悪い息子を不孝(ふきょう)した」というように使用します。

今では、不孝はあまり使われておらず、勘当などといいます。

不孝を使った例文

・『親より先に亡くなるとは、彼は、とんだ不孝者だ』
・『わたしは、親からの期待をことごとく裏切ってしまった親不孝な子どもです』
・『忙しくて長いあいだ親と連絡を取らないでいたら、不孝者と罵られました』
・『大切に育ててもらった親には、いつか恩返しをしようと思っているのに、不孝の罪を重ねてしまいます』

「不孝」の類語

相手との関係を断つという意味の「縁切り」【えんきり】、「絶縁」【ぜつえん】が類語です。

また、交際を絶つことという意味がある「絶交」【ぜっこう】や、親子のあいだの関係を断つ「勘当」【かんどう】や「義絶」【ぎぜつ】なども類語にあたります。

忠誠心を持たないという意味では、神仏を信じない「不信心」【ふしんじん】も類語にあたります。

「不孝」の対義語

「孝行」【こうこう】が対義語にあたります。

子として、親を大切にすることを意味しています。

「不孝」と同じように、「親孝行」と使われることが多くなります。

まとめ

「不幸」「不孝」は、一文字違いですが、意味は違います。

「おやふこう」を漢字で書く場合には、「親不孝」になります。

違いを知って、役立ててください。

違い
意味解説辞典