「悪質」と「粗悪」の違いとは?分かりやすく解釈

「悪質」と「粗悪」の違いとは?違い

悪いことを意味する言葉はたくさんありますが、混同されやすいものとして「悪質」「粗悪」があります。

どちらもいろいろな場面で使われている言葉ですが具体的にはどのような違いで区別されているのでしょうか。

今回は、「悪質」「粗悪」の違いについて解説します。

「悪質」とは?

「悪質」とは、「たちが悪く程度が低いこと」を意味する言葉です。

結果として程度が低いのではなく誰かの意図や考えによって行われる悪事や物事を指す言葉が「悪質」です。

「質」という漢字には「質がいい」など物事の程度を表す意味の他に「資質」「気質」のように持って生まれた特性や特徴という意味があります。

「悪質」の場合はその両方の意味が使われており「出来栄えが悪く程度が低い」「持って生まれたたちの悪さ」というふたつの意味がこめられています。

つまり「偶然ではない悪さ」「悪質」のさす意味合いであり、目に見える程度の低さの裏に悪意や怨恨など誰かの意図や思惑が隠れている状態を表しています。


「悪質」の使い方

・鍵を壊すとはイタズラにしては悪質だ。

・悪質な犯罪者は徹底的に取り締まるべきである。

・暴言の悪質性が認定された。

・ゴミを撒き散らす悪質な行為。


「粗悪」とは?

「粗悪」とは、「ものの出来栄えが悪く品質が劣っていること」を意味する言葉です。

「粗悪」「粗」「大ざっぱ」「荒削り」という意味で、丁寧ではいく手が抜かれている質を表します。

そのような「大ざっぱで荒削りな状態であるがゆえに質が低い状態」を指す言葉が「粗悪」です。

一般的には物の品質を表す言葉で、不完全で価値が低い物に対して使います。

比較対象としてもっと出来の良い見本となるようなものがある場合に使うのがふさわしく、芸術的な価値など比較が難しいものではなく技術的な他と比較して劣っていると容易に判断できる客観的な出来栄えの悪さを表しています。

もっと丁寧にやれば完成度を高められるのにコストや熟練度などの理由で出来栄えが悪い、つまり手抜きや技術不足などに由来する品質の低さに対して使われる言葉です。

出来栄えが悪いだけではなくそのことによる不都合、例えば商品として販売できないなど、が含まれています。

出来栄えが悪くても全く問題がない場合は「粗雑」「粗末」など程度の低さを非難しない表現が用いられます。

「粗悪」の使い方

・納品された部品に粗悪な品が混入していた。

・粗悪な造りの住宅が台風で吹き飛ばされてしまった。

・レンズが粗悪ではいい写真が撮影できるわけがない。

・終戦直後に出版された本なので粗悪な神が使われている。

「悪質」と「粗悪」の違い

「悪質」「粗悪」の違いは「悪意の有無」です。

「悪質」は明確な意図によって発生した悪い結果や程度の低さを表す言葉で、背後には悪意ある存在がいます。

「粗悪」は未熟さや経済的理由などによって生じる品質の低さを指す言葉です。

物資不足でやむを得ず「粗悪」なし長納品されるなど必ずしも悪意によるものではなく、結果としての出来の悪さを表しています。

まとめ

「悪質」「粗悪」は似た場面で使われることが多いため今度されやすいですが、本来の意味は大きく違う別の言葉です。

誤った言葉を使って混乱を招かないためにもそれぞれの意味をきちんと知っておきましょう。

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