古典などを読んでいると、「世俗」と「俗世間」という聞きなれない言い回しを見かけることもあります。
この記事では、「世俗」と「俗世間」の違いを分かりやすく説明していきます。
言葉遊びの楽しさを知って、日本語力をさらに深めていきましょう。
「世俗」とは?
世俗(せぞく)とは、世の中に当たり前に存在しているルールのことを指しています。
私たちが暮らしている世界のこと、世の中すべて、一般の人をあらわす場合もあります。
もともと世俗の「俗」には、習慣・ならわしという意味があります。
人が集落である「谷の中」を静かにながめている…そんなイメージの語です。
その地域に根づいている習慣は、言い換えるなら空気のようなもの。
平凡だったり、人並みだったりするものです。
そのため「世俗的」というと、いかにも普通である様子・人並みであることを表します。
また世間の空気に流されてしまうことを「世俗に流される」や「世俗に染まる」と言います。
「俗世間」とは?
俗世間(ぞくせけん)とは、私たちが暮らしている日常世界のことをあらわす言葉です。
世間には世の中や社会という意味がありますが、それに「俗」が付いているので大衆的な世の中・一般的な社会という意味になります。
俗は出家しない人、仏の道にはいっていない人という意味もあるので、一般的な社会・普通の暮らしを送っている人というイメージになります。
「俗世間を離れる」や「俗世間を逃れる」というと、出家するという深い意味のほかに、騒々しい日常生活をはなれてゆっくり過ごすという意味もあります。
常に何かに追われているような現代社会において、俗世間と距離をとる生き方は理想的な暮らしぶりなのかもしれません。
「世俗」と「俗世間」の違い
世と俗という共通した言葉も含まれているので、違いが見えにくいのが世俗と俗世間です。
「世俗」と「俗世間」の違いを、分かりやすく解説します。
・世俗には人が含まれることもある
世俗と俗世間は、ほぼ同じ意味合いで使われます。
そのため差を付けることは難しいのですが、強いていうなら「世俗」には人という意味が含まれることがあります。
一般的な暮らしや生き方をしている人を、世俗と言い表すこともあるのです。
それに対して「俗世間」は世の中すべてのことを指しています。
人にスポットを当てているというよりは、世間の空気やならわしに焦点を当てています。
特定の人について述べたい時は世俗を、大衆的な世の中を述べたい時は俗世間を使うといいでしょう。
まとめ
世俗と俗世間の違いを、分かりやすくお伝えしました。
どちらも大衆文化らしい生き方をしている人や、世間の風を言い表した言葉です。
何気ない日常生活を送っていると、世俗や俗世間を離れた「世捨て人」のような人をうらやましく思うことがあります。
実際に隠居生活を送れなかったとしても、世俗を離れた静かなひとときを持つことは人生にとって大切かもしれません。