「人たらし」
「人たらし」は「ひとたらし」と読みます。
「たらし」というと悪い意味に聞こえますが、現在では良い意味としても使われています。
「人たらし」の意味
「人たらし」の意味と背景について紹介します。
「人たらし」の意味
「人たらし」の意味は、「コミュニケーションを取るのが上手く、多くの人から好かれている人」「上司や先輩から可愛がられている人」です。
いつも愛想が良くて誰にでも明るく接するので、人を引き付ける魅力を持っている人のことを言います。
但し、人によっては「八方美人」ということもあります。
悪い意味から良い意味へ
「人たらし」は、昔は「人をだます様な人」のことを言い、悪い意味でした。
確かに女性をもてあそぶ男性のことを「女たらし」と言います。
しかし天下を統一した武将「豊臣秀吉」により「人たらし」が良い意味に使われる様になったのです。
秀吉は人に取り入るのが非常に上手く、真冬に織田信長の草履を懐で温めてから差し出したことで感心されたというエピソードがあります。
この様に世渡り上手な秀吉を、小説家である司馬遼太郎が著書の中で「人たらしの天才」と書き表しました。
このことから「人たらし」は悪い意味ではなく、世渡り上手な人を意味する良い言葉として使われる様になったのです。
「人たらし」の言葉の使い方
「人たらし」が使われるのは以下の様なシーンです。
「敬語が使いこなせる人」に対して
社会人として生活していくには、相手を敬う態度を持つことが大切です。
いくらきちんと仕事ができても言葉がぞんざいでは認められないものです。
敬語が使いこなせて、相手が良いイメージを持つ人は「人たらし」と呼ばれるでしょう。
「人との距離感の取り方が上手い人」に対して
人は親しくなり過ぎるとつい距離感を忘れてしまい、ベタベタとしてしまうものです。
その結果プライベートなことに首を突っ込み過ぎてしまったり、ズケズケと傷つけるようなことを言ってしまいがちです。
「親しき仲にも礼儀あり」で程良い距離感で、一緒にいて煩わしくないと思える人に対して「人たらし」が使われます。
「上手に人に甘える人」に対して
人はちょっとしたことで頼られたり甘えられたりして、「ありがとうございます、助かりました」と満面の笑みでお礼を言われるとプライドをくすぐられて嬉しくなるものです。
「人たらし」は適度に人に甘えたり頼ったりして持ち上げて、自分を一歩下に置きます。
あまり重たい内容ではなく簡単にできることで相手のプライドを満足させて、距離を縮めていきます。
「人たらし」を使った例文・短文(解釈)
「人たらし」を使った例文と解釈を紹介します。
「人たらし」の例文1
「彼は人たらしで新しい会社でも可愛がられている」
元々陽気で話し上手な人が転職をした時の様子を表しています。
素直に明るい性格は、上司や先輩に与える好感度も高く、部署にスムーズに溶け込んでいるのでしょう。
「人たらし」の例文2
「また飲み会に誘われたのか、本当に人たらしだな」
話が上手で明るい人は飲み会にひっぱりだこです。
社交的で断らないというのも特徴の一つで、いつでも誘われている様子を表しています。
「人たらし」の例文3
「彼は人たらしだから友達がとにかく多い」
会話が上手く一緒にいる相手を気持ち良くさせることから、いつも多くの友達に囲まれている様子を表しています。
友達がその様子を羨ましいと思っている意味も含まれています。
「人たらし」の例文4
「彼女は人たらしぶりは実に見事だ」
人とのコミュニケーションの取り方がうまいだけではなく、上手に甘えることで多くの人達から可愛がられています。
この発言をした人は、その人に対してかなり嫉妬心を持っていることがうかがえます。
「人たらし」の由来・語源
「人たらし」の「たらし」とは、「言葉巧みに女性をもてあそぶ男性」のことでした。
口が達者で相手を良い気持ちにさせるという意味が含まれていることから女性以外にも使われる様になり、「人たらし」という言葉が生まれたのです。