「仇」
「仇」と書いてどのように読むか皆さんご存知ですか。
「仇」という名詞には2つの読み方がありますが、現代日本語では、「かたき」と「あだ」と読みます。
「仇」の意味
さて、「仇」とは一体どういう意味なのでしょうか。
「仇」とは、様々な意味がありますが、一般的に多く使用される意味としては、仕返しをしようと思っている相手や敵のことを表します。
また、恨みにもって仕返しをすることや、またその恨みそのものをも、「仇」とも表現します。
更に意味は転じて、人に害を加えるものや危害についてをも意味します。
「仇」の言葉の使い方
現代日本語では、「仇」は名詞で用いられることが一般的ですが、古い使い方では、「仇む」というように動詞で使うことも出来ます。
読みは、「あだむ」あるいは「あたむ」で、敵視をしたり、恨んだりすることを意味します。
「仇」を使った例文・短文(解釈)
それでは、実際に「仇」という言葉を使った例文を参考に、この言葉がどのように使われているのか、詳しく見ていきましょう。
「仇」の例文1
「A子は父親の仇を討つために、英国人を追って単身ロンドンに向かった」
まずはこの例文で使われている、「親の仇を討つ」という慣用句を見ていきましょう。
「おやのかたきをうつ」と読みます。
同じ読み方で、「仇」は「敵」と表現されることもあります。
親が受けた惨い仕打ちを、その子供が埋め合わせとして仕返すことを意味します。
戦が日常的だった昔の時代では、戦で亡くなった親の無念を晴らそうと、子供が親を殺した相手と対峙する事が多くありました。
親の敵討ちをする、等とも表現しますね。
続いて例文を見ていきましょう。
このA子という女性の父親は、英国人によって何らかの仕打ちを受けたようですね。
どの程度の仕打ちを受けたのかは、こちらの文脈だけでは読み取ることは出来ませんが、金銭的にだまされてしまった、あるいは殺害されてしまった、そういった可能性は浮上してきます。
A子は父の無念を晴らすために、一人でこの英国人を探しにロンドンへ向かっていく姿がわかります。
「仇」の例文2
「B子は両親に大切に育てられてきたが、金遣いが荒く、あちこちで借金を作ってきてはその返済を親に押し付けている。 恩を仇で返すような仕打ちに、両親が不憫でならない」
まずは「恩を仇で返す(おんをあだでかえす)」、というこちらの慣用句を見ていきましょう。
ここでは、「仇」は危害という意味で使われています。
恩を受けた人物に対し、感謝するどころかむしろ危害を与えるような仕打ちをしてしまうことを言い表します。
それでは例文を見ていきましょう。
このB子という女性はご両親に大切に育てられてきたにもかかわらず、親孝行をするどころか、借金を沢山つくってきては、親を困らせるという大変恩知らずな行いをしています。
これを見た周囲の人間が、報われないB子のご両親を可哀相に思っている様子がわかります。
「仇」の例文3
「昨日僕は電車内で高齢の方が乗ってきたので、席を譲ろうとしたが、年寄り扱いをするな、と反って迷惑がられてしまった。 親切のつもりが仇になる、とはまさにこういうことだ」
まずはこちらの例文で使われている慣用句について見ていきましょう。
「親切のつもりが仇となる(しんせつのつもりがあだとなる)」とは、相手のことを考えて好意的に行った行動が、裏目に出てしまうことを言い表します。
この例文では、男性が親切心から席を譲ろうとしますが、反って譲られた方の気に障ってしまい、良かれと思って行った行動が裏目に出てしまっていますね。