この記事では、「仕舞う」と「片付ける」の違いを分かりやすく説明していきます。
「仕舞う」とは?
「仕舞う」【しまう】とは、出していたものを元の場所に入れておさめることです。
また、物事を終えて結末をつけることも意味します。
その場合は「終う」と表記されることもあります。
「仕舞う」は、古くから使われてきた言葉ですが、一説によると能楽の「仕舞」【しまい】が「しまう」に転じた言葉ではないかともいわれています。
能楽の「仕舞」は、舞台で舞う「シテ」が能面を付けずに演じることです。
舞台の最後に「仕舞」を舞ったことから、物事を終えることが「仕舞い」「仕舞う」になったともいわれます。
現代において「仕舞う」という行為は、出していたもの、使っていたものをもとの場所におさめることを指すのが一般的となっています。
その際の類語は「片付ける」や「収納する」です。
また、終わらせることを意味する「仕舞う」「終う」には、続けてきたことを済ませる、一切やめてしまう、といったニュアンスがあり、商売をやめる、作業を完了させることを表すときにも使われています。
「仕舞う」の例文
・『春になったので、冬物をクローゼットに仕舞う』
・『大切な思い出は心の中に仕舞っておく』
・『病気で仕事ができなくなったので、長年続けてきた店を仕舞うことにした』
「片付ける」とは?
「片付ける」【かたづける】とは、出していたものを整頓したりその場からなくしたりすることです。
物事を終わらせる、始末するという意味も持ちます。
「片付ける」は、物事を完全に終わらせて始末することを表す「方を付ける」に由来する言葉とされています。
「方を付ける」は「片を付ける」とも表記されることから、同じ意味で「片付ける」が使われるようになりました。
「片付ける」という行為は、主に持ち物をもとの場所に戻す、乱れている状態をきれいに整えて直す、あるいは処分するなどしてその場からなくすことを表すときに使われます。
また「方を付ける」が意味するように、物事を終わらせる、始末して消してしまうことの暗喩にも用いられています。
「片付ける」の例文
・『おもちゃで遊んだあとはきちんと片付けてね』
・『お客さんが来る前に、部屋をきれいに片付ける』
・『夏休みの宿題は、最初の1週間で全て片付けてしまうつもりだ』
「仕舞う」と「片付ける」の違い
「仕舞う」と「片付ける」の違いを、分かりやすく解説します。
「仕舞う」は出していたものを元の場所におさめることです。
「片付ける」は出していたものを整頓することや今あるものを始末してなくすことを指します。
どちらも、使っていた持ち物を元の場所におさめて空間をきれいに保つニュアンスがあります。
また、物事を終わらせる、始末するという意味を持っているところも共通しています。
行為やニュアンスは互いによく似ていますが、違いは「仕舞う」がものを内側におさめて「見えない状態」にすること、「片付ける」はものを整えてきれいにし「邪魔なものがない状態」にするところだといえるでしょう。
まとめ
「仕舞う」「片付ける」はどちらも部屋の掃除や整頓の際によく使われる言葉です。
互いによく似た印象もありますが、語源から言葉の意味を紐とくと、それぞれの示すところは違うことが理解できます。
「仕舞う」と「片付ける」は、ニュアンスの違いをつかみ場面に合わせて適切に使い分けていきましょう。