この記事では、「他山の石」と「対岸の火事」の違いを分かりやすく説明していきます。
「他山の石」とは?
「他山の石」とは、たざんのいしという読み方をすべき言葉です。
文字で表記されたこの言葉を見れば分かりますが、ほかのやまとかよそのやまといった意味を持つ他山に、いしとか無価値なものといった意味を有する石の字を加える事で成立している言葉となっています。
そのため他山の石は、よその山から出たつまらない石という意味から転じて、自分の修養の助けとなる他人の誤った言動を意味するのです。
「他山の石」の使い方
「他山の石」は、自分の学びになる様な他人の間違った言動等を表す際に、用いるべきことわざとなっています。
ただし他人の悪い行いを参考にし真似るべきではない、と自戒する事を意味するのでややマイナスイメージのある言葉となっているのです。
更に元々ことわざである事から、他山の石は日常会話で使われる事は余りなく、文章で使用される事が多く見られる言葉だったりします。
「対岸の火事」とは?
「対岸の火事」は、たいがんのかじという読み方をする言葉です。
文字で表現されたこの言葉を目にすれば理解出来る様に、向こう側のきしを意味する対岸に、建物や山林等が焼ける事やかさいを意味する火事の字を足す事で誕生した言葉となっています。
だからこそ対岸の火事は、自分には何の関係もないので何の苦痛もない問題等を意味するのです。
「対岸の火事」の使い方
「対岸の火事」は、何らの問題が起きたものの自分には無関係で何の痛みも伴わない事を、表す慣用句となっています。
対岸というのは離れた場所で火事が起きても、こちらの岸まで飛び火する事はないという意味から転じた言葉です。
もっとも、対岸の火事とは言えないや対岸の火事とは思えない、といった風に否定する形で使われる事も多く見られます。
「他山の石」と「対岸の火事」の違い
「他山の石」と「対岸の火事」は、見比べれば直ぐに使われている文字も読み方も特に似てはおらず、全然違う言葉同士だと気付くものです。
更に意味合いもそこまで似ていないので、その辺を把握すれば使い分けに迷う事はまずありません。
ちなみに他山の石は、他人の誤った行い等から学びを得るといった意味を表す言葉です。
一方の「対岸の火事」は、何らかの問題が起きているものの自分には無関係で苦痛がない、といった意味を表します。
「他山の石」の例文
・『他人の失敗は馬鹿にするのではなく、他山の石とすべきです』
・『あの会社の対応を真似るのではなく、他山の石とすべきだ』
「対岸の火事」の例文
・『今回の事故は、対岸の火事だと甘くみるべきではないです』
・『あの国の経済破綻は、日本経済にとって対岸の火事とは言えません』
まとめ
2つの言葉を比べれば、使われている文字も読み方も特に似ている部分はないです。
その上、表す意味も特に似ている訳ではないので、互いの言葉の意味を把握すれば使い分けに困る事はありません。
「他山の石」は、他者の間違った言動から学ぶ事で自分を高めようとする事を表す言葉です。
対する「対岸の火事」は、自分には影響を及ぼす事はない何らかの問題を表す言葉となっています。