「信を問う」
信を問うとは、簡単に使われる言葉ではありません。
その為、見聞きする機会もそうはないと思いますが、いざ使われる際にはそれなりに大きい出来事がある時だと考えていいでしょう。
また、場合によっては意外に身近な所で使われることもある言葉です。
ただし、大抵の場合は(意味自体はおかしくなくても)大袈裟な使い方になっているので、簡単に使うのはおすすめできません。
「信を問う」の意味
信を問うとは、「自分(たち)を信じてくれるか問い掛ける」ことです。
この問い掛けとは、直接話をする時だけでなく、それに準じる行為の場合も含みます。
いい例では、「選挙」がこれに当たります。
各政党や候補者が政策などを有権者に訴え、この「信を問う」行為こそが選挙です。
そこで当選する(または、政党として予想以上の結果を出す)ことができれば、「信を得た」と表現できます。
「信を得た」は、この「信を問う」行為に満足の結果が出た時に、それを表現する為に使う言葉です。
その逆は「信を得ず」、「信を得られなかった」と使います。
「信を問う」の英語と解釈
信を問うを英語で表現すると、“seek the confidence of 〜”となります。
「〜からの信任を求める」となり、「信を問う」の意味が完全に表現できています。
別のニュアンスも含んでいるような言葉ではないので、このようなはっきりとした英訳が可能です。
これでは仰々しいと思う場合には、簡単に“appeal to 〜”でも構いません。
こちらでも意味はほとんど変わりませんが、比較的軽く使う場合はこの方が向いています。
特に前述した「信を問う」と使うと大袈裟になってしまうようなシチュエーションではこちらがいいでしょう。
「信を問う」の言葉の使い方
信を問うという表現は、上で挙げたような選挙や、それに近い規模で行われる投票行為に対して使うことが多い言葉です。
逆に、それ以外の場面で使ってしまうと、大袈裟になることがほとんどです。
例えば、数人で多数決を採る場面に使えなくてもありませんが、どう考えても大袈裟な使い方です。
その場合には、若干意味合いが異なりますが、「決を採る」で充分です。
「信を問う」を使った例文・解釈
信を問うを使った例文です。
主に選挙のような大きな出来事で使う言葉なので、似たようなものばかりになってしまいます。
「信を問う」の例文1
「今度の総選挙は、国民の信を問う戦いになるだろう」
半数ごとに改選が行われる参議員とは違い、衆議院は毎回全議席の改選が行われる為、総選挙と呼ばれます。
実質的にこの衆議院によって国家を運営する”与党”が決まる為、国民の信を問う戦いになるのは言うまでもなく、各政党にとって一番大切な選挙です。
「信を問う」の例文2
「簡単に国民の信を問うなどと言うが、その前にやることをきちんとやって欲しいものだ」
「国民の信を問う」は、政治家がよく使うフレーズです。
特に衆議院は与党の好きなタイミングで解散ができる為、今解散をすれば勝てる(今なら与党が維持できる)と思った時に、挙がっていた議案などに関係なく解散してしまうことがあります。
そんな時に、この例文のように言われてしまいます。
そんなことをしていては、そう言われても仕方ないでしょう。
「信を問う」の例文3
「あの政治家は、一体どんな信を問う為に立候補したのやら」
政治家の中には、およそそれには相応しくないと思ってしまうような人も居るものです。
そのような人に対して、何が目的で立候補しているのかと言っています。
もちろん当選するのが目的でしょうが、その先の本当の目的(当選してやりたいこと)がないような人では困ったものです。
「信を問う」の例文4
「ここで市民の信を問うつもりだが、まだ早いかも知れない」
市町村の単位でも、議員や首長を決める選挙となれば、「信を問う」と使っていいでしょう。
また、市民投票などにおいても、充分に使うことができます。
この例文はそのようなケースです。