この記事では、「先刻」と「先程」の違いを分かりやすく説明していきます。
「先刻」とは?
「先刻」には2つの意味があります。
ひとつは、さっきです。
今の時間よりも少し前の時間を指します。
今が9時だとします。
8時50分に兄弟が喧嘩をしていました。
しかし、今の時点では喧嘩をしていません。
このことは「先刻まで喧嘩をしていた」と表現することができます。
喧嘩をしていたのは、今よりも少しだけ前の時間です。
もう一つの意味は、すでに、とうにです。
副詞的な使い方をします。
読売巨人軍が好きな人なら、今の監督が誰なのか知っていることでしょう。
これを「先刻承知のはず」と表現することができます。
すでに知っているはずという意味です。
「先刻」の使い方
時間的に少し前のことを指して使用することもあれば、すでに、とうにという意味で使用することもあります。
すでに、とうにという意味では「先刻承知」の形で使われることが多いです。
「先程」とは?
今の時間から少し前のことです。
講演会でゲストが挨拶をすることになりました。
その前に、「これからゲストが登場します」ということを、司会者が講演会参加者にしていました。
そして、いよいよゲストが登場します。
参加者の前に立ち「先程ご紹介のあった~」と言葉を発しました。
ほんの少し前に司会者が紹介していたので、「先程」というのです。
この言葉は、時間的に少し前のことを指しており、1日以上前のことを指しているのではありません。
では、少し前とは具体的に何分なのかというと、その意味は含まれていません。
「先程」の使い方
時間的に少し前のことを指して使用する言葉です。
何分など具体的な定義はありません。
そのため、人それぞれ使い方が異なります。
10分程度前のことにしか使わない人もいれば、1時間程度前のことに使う人もいます。
しかし、1日以上前のことには一般的には使用しません。
やや改まったいい方なので、親しい間柄で使うよりも、公の場や目上の人に対して使用します。
「先刻」と「先程」の違い
2つの言葉の意味は同じで、時間的に少し前のことを指しています。
どちらもやや改まったいい方で、公の場や目上の人に対して使うことが多いです。
また、「先刻」には、すでに、とうにという意味もあります。
この意味は「先程」にはありません。
「先刻」の例文
・『先刻と同じ場所に同じ人がいる』
・『先刻までの状態がうそのよう』
・『先刻電話をいたしました』
・『先刻の話』
「先程」の例文
・『先程から説明している通り』
・『先程、荷物が届きました』
・『先程から待機をしている』
・『先程連絡をしたものです』
まとめ
2つの言葉は同じ意味で、今よりも少し前の時間を指しています。
どちらもやや改まったいい方で、同じような使われ方をしています。
「先刻」には、副詞的な使い方をして、すでに、とうにという意味がありますが、「先程」にはこの意味がない点に違いがあります。