好ましくない変化を指す言葉として「劣化」と「老化」があります。
どちらもできれば避けたいネガティブな変化に対して用いられる言葉ですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「劣化」と「老化」の違いに槌いて解説します。
「劣化」とは?
「劣化」とは「徐々に悪くなること」という意味で使われる言葉です。
「時間の経過などにより最初の頃と比べて性能や機能が低下してしまう」ことを指して「劣化」と表現します。
アクシデントなどで突然性能が悪くなったり使えなくなったりするのではなく、ある程度の時間をかけて相対的に起きる性能低下が「劣化」の指す意味合いです。
「劣化」の原因はさまざまです。
時間経過とともに起きる化学的変化や品質の低下など「経年変化」を指すのが一般的ですが、新技術の開発などにより当初と変わらぬパフォーマンスが維持されていながら相対的に機能が低くなってしまうようなケースも「劣化」と表現します。
「劣化」は人為的なものではなく自然な変化や仕様による避けられない損耗を指します。
放置していて発生する品質の低下はもちろん使用による痛みやすれ、摩耗などによる衰えが「劣化」です。
「劣化」の使い方
・故障の原因が部品の劣化によるものだと判明した。
・雨ざらしで放置していたせいでだいぶ劣化が進んでいる。
・建物の劣化は危険につながるため早期の修繕が必要だ。
・相次ぐ新製品の発表により我が社の製品が市場で劣化してしまった。
「老化」とは?
「老化」とは「生物が年齢を重ねることによって起きる心身機能の減退」を指す言葉です。
「老化」一般的には「加齢による衰え」という意味で使われています。
どんな生物でも寿命に近づくにつれ肉体や精神の機能は低下していきます。
そのような年齢に由来する避けようのない衰えが「老化」です。
「老化」は特定の現象を指すものではなく加齢に由来する肉体的精神的衰え全般を表す言葉です。
体力や筋力の低下、老眼や難聴、四十肩や腰痛など年齢を重ねた人であればだれでも起きるであろう心身の不調を総称して「老化」と表現します。
加齢による変調には良いものもありますが「老化」という場合は不調や好ましくないものを指します。
加齢による良い変調に対しては「成熟」「老成」など別の言葉が使われます。
「老化」の使い方
・近年は強く廊下を実感する。
・老化により歩くスピードがだいぶ落ちた。
・老化防止のために毎日運動している。
・栄養バランスのとれた食事が老化予防に効果を発揮する。
「劣化」と「老化」の違い
「劣化」と「老化」の違いは「物か人か」です。
「劣化」は基本的に生物以外の物に対して使われる言葉です。
人に対して使われることもありますがその場合は歌や踊りなどのパフォーマンスや容姿など人物そのものではなくその人の特定の一部分を指して使われる表現です。
「老化」は加齢によって衰える寿命のある生物に対して使われる言葉です。
時間経過による機能低下であっても機械や道具など物に対しては遣いません。
まとめ
「劣化」と「老化」は似たような意味合いの言葉ですが使う対象が違います。
間違えて使うと失礼に当たる表現なので注意して正しい言葉を使ってください。