この記事では、「即身仏」と「ミイラ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「即身仏」とは?
主に日本の仏教に見られる僧侶のミイラを指す言葉で、真言密教の最高奥義とされる境地です。
生前に自らの身体を捧げて仏になると決意した僧侶が穀物を断つ、塩と水のみの断食を行うなどの壮絶な食事制限を行い、そこから更に進んだ段階では内臓の腐敗を避けるという目的で人体には毒となる漆の樹液を飲み、僧によっては同じ目的でヒ素などの毒を飲むこともあったとされています。
最終的には3m程度の竪穴または石の室に籠もり、命が尽きるまで鈴を鳴らし、お経を読み続けます。
鈴が鳴らなくなると弟子が絶命したかを確認します。
死後3年3ヶ月後に掘り起こされ、完全に朽ち果てたものは無縁仏として供養され、形が残っている遺体は手当を施した後即身仏として安置されます。
山形に即身仏が多く分布しており、即身仏は日本ミイラ研究学会の調査範囲です。
「ミイラ」とは?
人為的な加工または自然条件で乾燥され、長期間原型を留めている死体のことを指し、ピラミッドなどに安置されているミイラが有名ですが、事故の状況によっては遺体がミイラ化する現象も稀に発生しています。
ピラミッドなどに安置されているミイラは死からの復活のために遺体を残すという考えのもとに作られたもので、王族中心に行われていましたが、エジプトの庶民にもミイラを作る習わしが広まったようです。
ミイラは遺体を加工する職人の手によって行われるもので、腐敗を防ぐため薬品を使うなどの様々な工程を経て最終的に樹脂や香料を遺体(ミイラ)に塗り、細長い麻布を巻き付けていき完成します。
人間のミイラだけでなく、猫や鳥のミイラも存在していました。
なお、映画やゲームなどで登場するミイラ男はこのミイラが動き出したイメージとなっており、包帯のように見える部分が細長い麻布に当たる部分です。
動けることからミイラ男のイメージには樹脂の加工は含まれていません。
「即身仏」と「ミイラ」の違い
「即身仏」と「ミイラ」の違いを、分かりやすく解説します。
「即身仏」と「ミイラ」は遺体が腐敗しないように加工され、後世まで残っているという点では共通している部分がありますが、即身仏は自分の意志で行い、真言密教の最高奥義とされる境地で人々が飢餓から救われるという願いなどによって、僧侶が行うものです。
ミイラは死後に復活するという願いを持って遺体に対して職人が加工するものですが、より強く自分の意志で行われているのが即身仏と言えます。
即身仏は主に日本の山形で多く見られますが、いわゆるミイラはエジプトが有名です。
ミイラは人以外のものもあります。
また、現在でも事故などでミイラ化してしまうことがあります。
まとめ
「即身仏」と「ミイラ」は考え方の違いはあるものの死後もなお、世の中に対しての考え方があるものと言えます。
即身仏は真言密教の最高奥義ということもあり、そう数が多いものではありません。