見る価値の高い名所案内などで見かける言葉として「史跡」と「名勝」があります。
どちらも人気の旅行先などでよく使われる表現ですが、このふたつにはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「史跡」と「名勝」の違いについて解説します。
「史跡」とは?
「史跡」とは「歴史の足跡が残された場所や建物」と言う意味の言葉です。
「史跡」には法律的な定義があります。
もともとは1919年に制定された「史蹟名勝天然紀念物保存法」によるものですが現在では文化財保護法によって規定されています。
それによると「史跡」とは「貝塚、集落跡、城跡、古墳などの遺跡のうち歴史・学術上価値の高いもの」を指します。
狭義では上記の内容を指す「史跡」ですが広義では「歴史的、学術的価値の高い歴史異物」全般を指します。
上記の定義は国内に対する規定ですが「史跡」と言う言葉自体は国内外を問わず広く歴史の足跡が残された場所や建物に対して使われます。
歴史があることが大前提になっているので「史跡」が新しく造られるということは言葉の定義上ありえません。
歴史の流れ的に重要なものであっても現在使われている現役のものに関しては対象外であり、役目を終え遺跡となってから初めて「史跡」としては扱われます。
「史跡」の使い方
・史跡をめぐるたびに出る。
・議会では史跡の保存について意見がかわされた。
・ありふれた風景に見えるこの場所が重要な史跡であることは知られていない。
・観光資源として史跡を活用する。
「名勝」とは?
「名勝」とは「優れた風景や景色、そのような光景が見られる場所」と言う意味の言葉です。
文化財保護法によると「名勝」とは「庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地の中で、日本にとって芸術上また観賞上価値の高いもの」と規定しています。
見た目が美しく鑑賞する価値が高い場所や地域が「名勝」であり法律によって保護の対象となっています。
狭義では日本における美しい土地を意味しますが、狭義では美しい光景が見られる場所全般を「名勝」と表現します。
他の場所よりも美しさにおいて「勝る」土地であることに由来する言葉で、別の言い方に「景勝地」があります。
「名勝」の使い方
・名勝として名高い天橋立にやってきた。
・さすが名将と言われるだけあって素晴らしい景色だ。
・名勝を楽しめる人気ホテルに予約を入れる。
・名勝は優れた観光資源である。
「史跡」と「名勝」の違い
「史跡」が歴史的な重要性によって決まるのに対し「名勝」は芸術性によって決まります。
「史跡」で問われるのは歴史的な役割や位置付けであり現状がどのようになっているかは問われません。
合戦場跡など現在ではも残っていない場所であっても歴史的重要性が認められれば「史跡」になります。
「名勝」は見た目の美しさによって決まるものなので今現在の状況が重要視されます。
基本的には天然に造られた自然の美しさを指しますが、庭園や護岸整備された川など人の手が入ったものであっても美しく芸術性が高いものであれば「名勝」に含まれます。
まとめ
「史跡」と「名勝」は似たような場面で使われることが多いですが意味する内容は全く異なります。
意味の取り違えが無いようにそれぞれが指すものをきちんと覚えておきましょう。