この記事では、「向上」と「増加」の違いを分かりやすく説明していきます。
「向上」とは?
「向上」とは、よりよい方向や、すぐれた状態に向かうことです。
「よい」とはどのようなものなのか、人によって考えるものが違いますが、一般的には好ましい事柄や状態を指しています。
学力のことで考えてみます。
子どものテストの点数が0点なのは、親にとって好ましくないことでしょう。
本人にとっても、好ましくないことのはずです。
0点では悪い成績をつけられてしまい、進学に影響を与えます。
しかし、普段0点をとっていても、勉強をすれば点数を上げることができます。
テストは学力をはかるものなので、テストの点数が上がれば学力が高くなったということができます。
学力が高くなることは好ましいことでしょう。
このことを「学力が向上する」ということができます。
「向上」の使い方
能力や程度などがよい方に向かう、という意味で使用をします。
知名度が高くなる、学力が上がる、生活のレベルが上がる、生産性が高くなるなど、さまざまな事柄に使用可能です。
「高くなる」「上がる」という意味の事柄に使用されることが多いのですが、「向上」は高くなることや上がることを指しているのではありません。
これらの事柄に使用されるのが多いのは、一般的には高くなったり、上がったりすることがよいとされているからです。
「増加」とは?
「増加」とは、数量が多くなること。
多くすることです。
数量についてだけをいい、程度についてはいいません。
あるテーマパークの入園者数のことで考えてみます。
先月の入園者数は2万人、今月の入園者数は3万人でした、先月から1万人多くなっています。
人は数で表すことができます。
数が増えているので、このことは「入園者数が増加した」ということができます。
「増加」の使い方
数や量が多くなること、多くすることという意味で使用をします。
先のテーマパークの例では好ましいことですが、「増加」は好ましくない事柄にも使用されます。
たとえば、「ゴキブリの数が増加する」「感染者数が増加する」などです。
「増加」という言葉には、好ましい・好ましくないという意味は含まれていません。
「向上」と「増加」の違い
「高くなる」「上がる」「増える」などに関係する事柄に使用される2つの言葉ですが、同じ意味ではありません。
「向上」はよい方に向かうことです。
高くなる、上がる、増えるといったことを指しているのではありません。
「増加」は数や量が多くなること、多くすることです。
多くなることは、必ずしも好ましいとはいえません。
「向上」の例文
・『技術が向上する』
・『生産性の向上を目指す』
・『品質の向上』
・『精度の向上』
「増加」の例文
・『利用者が増加した』
・『ゴミの量が増加する』
・『人出の増加が予想される』
・『動物の個体数が増加する』
まとめ
2つの言葉は、高くなったり、多くなったりする事柄に使用されますが、同じ意味なのではありません。