誰かから何かを教わったり、自ら学習をして何か新しい知識や情報を得たり、もともとあった知識を深く掘り下げたり、広げたりするということは誰しもが何らかの形でおこなったことがあるのではないでしょうか。
頻繁に使われる『教える』や『学ぶ』などの言葉から少し難しい表現として『啓発』と『啓蒙』というものがあります。
どちらも似た様な感じを使っていますし、意味としても混同して使われているケースが多くありますが、ニュアンスが微妙に違うのは注意をしたいところです。
この記事では「啓発」と「啓蒙」の違いを分かりやすく説明していきます。
「啓発」とは
これは『気付かない点を教えてより高い認識や理解へと導くこと』という意味を持ちます。
ポイントは『気付かない点』と『より高い』という部分にあることは覚えておきたい部分です。
これはどういうことかというと、2つのアプロ―チがあり、『気付かない点』は『新しい知識や情報』という意味もあります。
さらにもう一つの『より高い』というのは『もともと何らかのレベルで情報を持っている』ところに対して更に『気付かない点』や『より高い』ところへと導くという意味です。
つまり、これをかみ砕くと、知識の有り無しや知識の深い浅いに関わらないというのが『啓発』の持つ意味です。
例えば『自己啓発本』という言葉がありますが、これを読むのはもともと知識を持っている人も読みますし、全く知識のない人でも読むことがあります。
「啓蒙」とは
一方こちらは『他人に対して正しい知識や専門知識を与えて、ものの道理あ分かるように教え導くこと』を表した言葉です。
この言葉のポイントは『他人に対して』と『教え導く』という部分であることに注意しましょう。
この言葉のポイントが指し示す通り、立場が上の人や博識な人間が無知な人間を導くという様に少し高い目線からの言葉であることがお分かり頂けるのではないでしょうか。
例えば『大衆を啓蒙する』という表現を見てみると、『無知で何も知らない民衆を正しい方向に導く』という様な少し馬鹿にしているかの様な意味になってしまいます。
よく社内会議などで客先へ製品やサービス内容についてしっかりと理解してもらうという表現を『顧客へ製品の啓蒙活動を行います。』と言われる方がいます。
間違いではないのでしょうが、これはかなり高い位置からの発言であることが分かると思います。
「啓発」と「啓蒙」の違い
この2つは『知識の有無に関わらず情報や知識を与えたり獲得する』のか『無知な人間に対して知識や情報を与えて導くこと』で違いを付けることが出来ます。
とても混同して使われることが多いです。
最近では『啓発本』という言葉が主流ですが、『啓蒙本』という言葉が無いわけではありません。
しかし、本来持つ言葉の立ち位置が微妙に違うので、他人にうっかり使ってしまうと失礼に当たることもありますので注意をしたい単語です。
まとめ
如何でしたでしょうか。
同じ漢字が使われ、似た様な表現でもある為、非常に分かりづらいですが、大人の教養としては是非区別できる様にしたい単語です。
この様に、似た様な漢字や意味を使う言葉が日本語には多くありますので、気を付けて違いを付けられる様に日ごろから意識をして行きましょう。