「密告」とは?
「密告」は、「こっそりと知らせる」ことですが、主に悪事や事件についての情報を関係各所に提供するような際に使う表現です。
「薬物の所持について警察に密告した」などという使い方になり、そこまでのことではない時には、単に「伝えた」で構いません。
よく「先生に密告した」などと使っているのを見聞きしますが、意味こそ分かりますが、いかにも大袈裟な使い方だと言っていいでしょう。
それくらいのことであれば、この「密告」とまでは言いません。
「告発」とは?
「告発」は、まだ明るみになっていない悪事や事件などを世間に周知することです。
上の「密告」とは違い、堂々と拡散することで、これにより、隠されていた悪事や事件を世間が知るところになる場合も少なくありません。
「○○に告発した」と使った場合には、その○○に知らせれば世間に広がると考えて行ったと解釈していいでしょう。
自ら拡散する時には、告発会見という形がとられることも多いです。
「密告」と「告発」の違い
上のそれぞれについての説明通り、「密告」は、あくまで「こっそりと知らせる」ことを表す言葉です。
「告発」の方は、「大っぴらにする」ことなので、同じ悪事や事件についての情報の提供という意味のある言葉同士でも、意味が全く異なります。
「密告」した情報がその後に世に広く出回ることは、「告発」ではありません。
あくまで最初にどのようにその情報を伝えるかという違いです。
「密告」の使用例
密告を使った例文です。
あまりいい響きのある言葉ではないものの、あまり悪い使い方にはならない言葉です。
「あの犯人が捕まったのは、密告があったからのようだ」
誰かからこっそりとあった情報提供によって、その犯人が捕まったと言っている例文です。
このような「密告」は全く悪いことではなく、むしろ「正義の行動」と言える場合が多いですが、場合によっては犯人同士による「密告」(自分が捕まりたくない為に、仲間を売ったという場合)もあるので、一概に全てが正義だとは表現できないかも知れません。
「密告があって、横領がバレたらしい」
一企業の中の話でも、この「横領」くらいのレベルになると、「密告」と表現する対象だと考えていいでしょう。
ですが、あれを壊したのは実は誰かだといったくらいの話であれば、とても「密告」とは使いません。
「匿名の密告だったが、信憑性がありそうだ」
「密告」は、自分の素性を隠したまま行うことも可能です。
ただし、その場合には信憑性に問題があると思われてしまうことが少なくないので、それには注意してください。
「これは密告するべきだ」と思ったものの、自分のことは隠しておきたいという時には、よく考えた上でどちらにするか選ばないといけません。
「告発」の使用例
告発を使った例文になります。
「密告」とは違い、自然と告発者が分かってしまうことも多いです。
「あの偽装が発覚したのは、従業員からの告発だそうだ」
このような形で会社ぐるみの不正などが発覚するケースが増えています。
従業員側からすれば、それによって会社のイメージが大きく下がったり、倒産してしまうようなことになってしまうと、自分自身も困ることになる為、なかなかできることではありません。
しかし、犯罪まがいにもなると、そのまま隠しておいていいはずもなく、実際には色々と複雑です。
「あの芸能人の告発会見はすごかった」
その芸能人が何かを告発する為に開いた会見の内容がすごいものだったと言っています。
たまにそういったことがありますが、芸能界にあまり興味がない人にとっては、例文とは違って大したものではないと思ってしまうことも多いでしょう。
「匿名で告発しようと思っている」
告発は匿名でも行えないことはありませんが、その場合には自らすることはできないので、信用できる誰か(どこか)に代わりに行ってもらうことになります。
その為、自分の素性は隠しておけるかも知れませんが、内容がうまく伝わらなかったり、質疑応答ができないなどのデメリットは避けられません。
「密告」と「告げ口」の違い
「告げ口」は、「密告」と言うには小さなことに対して使う表現です。
本質的には同じことですが、「先生に告げ口する」などという使い方をする言葉です。
事件が絡むことともなると、「警察に告げ口」とは言わず、「密告」の方を使ってください。