企業活動において、最も重要なことの一つにコンプライアンス(compliance)があります。
これは一般的には「法令遵守」と呼ばれていて、文字通り国や自治体の制定した法律や条例等を守ることです。
これは、罰則の有無に関わらず、やるべきでないことをやらないという極めて当たり前と言えば当たり前のことなのですが、以前は利益追求のためには細かい規則には囚われないという誤った思想が蔓延していたことに対するアンチテーゼでもあります。
特に、規模の大きな企業は社会に与える影響が大きく、小さな違反でさえ、大きなカウンターとなって帰ってくることもあるのです。
それでは、この「遵守」とはどういう意味でしょうか。
「尊守」との違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「尊守」と「遵守」の違いを分かりやすく説明していきます。
「尊守」とは?
「尊守」と書いて「そんしゅ」と読む言葉ですが、実は存在していません。
では、なぜ「尊守」という言葉を使う人が一定の数いるのでしょうか。
考えられることとしては、この後に説明する「遵守」という言葉を見た一部の人が、「遵」が馴染みのない漢字で、どう読んだら良いのか分からなかったので勝手に「尊」に変えて「そんしゅ」と読んだことから始まるというのが一般的な解釈です。
「遵守」とは?
「遵守」とは、「法律のような決められたことを守る」ということです。
「遵」には、「法則に則って行動する」という意味があるので、「法則を守る」ということもできます。
この漢字は「遵守」や「遵法」以外には使用されることがないので、特殊な言葉であるとも言えます。
「尊守」と「遵守」の違い
「尊守」と「遵守」の違いを、分かりやすく解説します。
結論から言えば、「尊守」という言葉は正式には存在しません。
「尊守」の例文
「尊守」の例文は以下のようになります。
・『尊守という言葉は存在しないということを再確認しました』
・『尊守という言葉が、明治時代に交付された「三条の教則」の中に出てくるという話も文字が間違って伝わっている一例です』
「遵守」の例文
「遵守」の例文は以下のようになります。
・『法令遵守は全ての企業活動の、最も基本的な考え方です』
・『学生生活において遵守すべき項目が、生徒手帳の中にしっかりと記載されています』
まとめ
この記事では、「尊守」と「遵守」の違いを、解説してきました。
序文で述べたように、コンプライアンスは、企業活動だけではなく、個人の日々の暮らしにおいても重要なことです。
我々が「遵守」しなければならないのは、法律や条例だけではなく、一般に広く認められた「常識」としての「道徳」でもあります。
子供の頃からたくさんの人たちに教わってきた「やってはいけない事」の中には、例えば「自分がされて嫌だと思うことを他人にしてはいけない」というような考え方は法律ではありませんが、全ての人が常に意識するべきことです。