この記事では、慣用句の「尻馬に乗る」の意味を分かりやすく説明していきます。
「尻馬に乗る」とは?意味
「尻馬に乗る」の読みは「しりうまにのる」で、「分別なく、他人の言動に同調して、軽はずみなことをすること」を意味する慣用句です。
「尻馬に乗る」の概要
「尻馬に乗る」の「尻馬」とは「人が手綱を持って乗っている馬の後部や、その後部に乗ること」を指します。
また「前を行く馬の後ろに、ついて行くこと」を指す場合もあります。
いずれにしても、自分で手綱を握って馬を進ませる訳でもなく、また自分で行先の道を切り開いて行く訳でもなく、ただ誰かに従うだけの安直で責任のない行為と言えます。
馬が交通の主な手段であった時代の、こうした無責任とも言える行為から生まれた慣用句で、そこから転じて「自分の意思を表明せずに、分別なく、他人の言動に同調して、軽はずみなことをすること」を意味する慣用句として定着したものです。
この慣用句では、「自分で考えることがない」点にポイントがあります。
従って、自分で熟慮して、誰かの意見に賛同したりする場合には、この慣用句は当たりません。
「尻馬に乗る」言動が、非難の対象になったり、問題視されるのは、「自分で考えることがない」ことが、無責任であるためと言えるのです。
「尻馬に乗る」の言葉の使い方や使われ方
「尻馬に乗る」の言葉は以下の例の様に使われます。
・『偉い人が発言したことの尻馬に乗って、まるで自分の考えであるかのように受け売りする人には、鼻持ちならず、信用でも出来ません』
・『彼が仕事上の成果を上手く出せない原因としては、上司の尻馬に乗り、自分で考える事をしないからです。自分で考える事がないため、少し状況が変化すると、上司に指示してもらわないと、対応できなくなるからです』
・『大多数の政治家は、政党などのリーダーの尻馬に乗っていることが少なくありません。しかしそれを見せないようにして、偉そうに発言している事が、逆に腹だしく感じられます』
「尻馬に乗る」の類語や言い換え
「尻馬に乗る」の類語や言い換えとしては、慣用句の「人の褌(ふんどし)で相撲を取る」や四字熟語の「付和雷同」を挙げる事が出来ます。
「人の褌で相撲を取る」は「他人の物を上手く利用して、自分の利益になるように図ること」を意味します。
「尻馬に乗る」以上に、功利的なニュアンスが強い言葉です。
また「付和雷同」は「自分の考えがなく、他人の言動に賛同し、従うこと」を意味し、「尻馬に乗る」にある、便乗してやろうというニュアンスは少ないと言えます。
まとめ
「尻馬に乗る」は「分別なく、他人の言動に同調して、軽はずみなことをすること」を意味する慣用句です。
この慣用句は、一般的に非難したり、問題視する言葉として使われますが、そのポイントとしては「自分で考えることがない」ことです。
「自分で考えることなく、誰かの言動に同調して従うこと」は楽なことであり、無責任であるためと言えます。