誰かと一緒にどこかに行くときに使われる言葉として「帯同」と「随行」があります。
2つともカジュアルな会話で使用されることはほとんど無く、ビジネス文書や公的な書類などで使用されます。
これらの言葉は普段使わないので、明確な意味を理解している人は多くはないでしょう。
この記事では、「帯同」と「随行」の違いを分かりやすく説明していきます。
「帯同」とは?
「帯同」の「帯」は腰に締める帯のように「くっついている」ことで、転じて「一緒に何かをする」という意味を持ちます。
「同」は文字通り「同じ」であり、転じて「一緒の状態」という意味もあります。
2つとも「一緒」という同じ意味なので、「帯同」も結局は「一緒に何かをする」あるいは「一緒にどこかに行く」を強調した表現ということになります。
このとき、一緒に行く相手に関しては限定されません。
英語では「accompany」が一番近いでしょう。
「随行」とは?
「随行」の「随」には「付き従うこと」という意味があり、「身分が上の人に付く」というニュアンスを含みます。
「行」は文字通り「どこかに行く」とか「何かをする」という意味なので、「随」と「行」で「目上の人に付いてどこかに行く」あるいは「目上の人に従って何かをする」という意味になります。
「随伴」や「随従」も同じような意味で使われます。
英語では「attend」が一番近い意味ではないでしょうか。
「帯同」と「随行」の違い
「帯同」と「随行」の違いを、分かりやすく解説します。
2つの言葉は共に「一緒にどこかに行く」という意味ですが、一緒に行く相手は、妻でも子供でも同僚でも上司でも、本人との上下関係が問われない「帯同」に対して、「随行」で一緒に行く相手は自分よりも目上の人である場合が圧倒的に多いという部分が唯一の違いということになります。
その意味では「随行」を使うべき目上の相手に対して「帯同」を使用すると、相手によっては不快に感じさせてしまう可能性があるということです。
「帯同」の例文
「帯同」の例文は以下のようなものです。
・『パーティーに妻を帯同して参加しました』
・『海外赴任に家族を帯同するための手続きは非常に煩雑です』
「随行」の例文
「随行」の例文は以下のようなものです。
・『総理大臣の訪米に第一秘書が随行しました』
・『海外友好交流派遣団の随行者として渡韓しました』
まとめ
この記事では「帯同」と「随行」の言葉の意味の違いに関して解説してきました。
この2つは普通の会話の中で使われることはほぼ無く、非常に限られたシチュエーションのみで使用されます。
しかし、その限定されたシチュエーションこそが、非常に重要な瞬間であり、そこでの言葉の使用法の間違いが人生を左右する事態を招くこともあり得ます。
どんな言葉でも同様ですが、特にこのような特殊な言葉を安易に使用しないように日頃から気をつけておくべきでしょう。